KHK、パーパス・ミッション・バリューを策定
KHK、パーパス・ミッション・バリューを策定
水素等の国際標準化にも尽力
高圧ガス保安協会(KHK、加藤洋一会長)は4月8日、東京・港区にあるヒューリック神谷町ビルのKHK本部にて、新たに策定した同協会が今後目指すべき方向性を示す「パーパス・ミッション・バリュー(PMV)」および、水素・CCSバリューチェーン構築に向けた取り組みについて説明した。
加藤会長は冒頭の挨拶で「当協会の存在意義を再定義し、自主保安の旗手社会をリードしていくための指針としてパーパス・ミッション・バリューを策定した。現在を顧みると不安定な国際情勢によるエネルギー問題や国内では人口減や生成AIをはじめとする革新的なデジタル技術の実装など、社会構造の大転換期を迎えている。高圧ガス保安法などの法制度は社会のOSであり、時代の変化に合わせてアップデートしなければ設備のインフラのように経年劣化し、安全コンプライアンスの形骸化や産業界における合理的な利用を阻害してしまう可能性もある」と述べた。
そして、カーボンニュートラルエネルギーとして利活用が拡大している水素を例に「高圧ガス保安法による水素の規制は化学工業での利用が主な用途であった時代に定められた部分も存在している。しかしながら、近年の水素利用は燃料電池自動車をはじめとするモビリティ用のエネルギーから調理向けの燃料など民生用を含む、幅広い領域における利用が想定される。当協会では水素などカーボンニュートラルエネルギーの分野でも安全を堅守することは前提として合理的な基準策定に関与するなど、制度インフラのアップデートを推進し、保安と振興に貢献していきたい」と語った。
懇談会ではまず、新たに策定されたパーパス・ミッション・バリュー(PMV)について説明。パーパスでは、自らを「健全なる挑戦をし続け、社会からの信頼を糧に、産業経済を牽引する自主保安の旗手」と定義し、公共性・中立性を基盤に行政と企業の懸け橋となることを存在意義として掲げている。
この存在意義を具現化するためのミッションとして、国内外の技術開発や社会変化への迅速な対応、制度インフラの適時適切な整備と国際的な調和、そして組織を支える保安人財の育成を目指すべき姿として設定した。また、職員のあるべき姿を示すバリューには、公正性、専門性、チャレンジ、スピード、全員参加の5項目を定め、高度な知識とチームワークで多様なニーズに柔軟かつ迅速に応える姿勢を明確化。
続いて、水素・CCSバリューチェーン構築に向けた国内外の動向と同協会の取り組みが紹介された。国内の政策動向として、高市早苗首相が2月の施政方針演説内で「水素社会の実現」に向けた取り組みを加速していくことが示され、官民投資ロードマップの議論が進められている。
このような社会実装の動きに対し、同協会は国際的な連携を強化。2025年10月には欧州委員会共同研究センター(JRC)と水素の安全と振興に関する協力覚書(MOC)に署名し、事故情報や研究開発成果の共有を進めている。また、韓国ガス安全公社(KGS)とは協力対話を通じて重大事故に関するニュースの速やかな共有などを決議したほか、ドイツのBAMやカナダ水素協会(CHA)との意見交換、ISOへの参画など、基準・規格の国際整合化を推進している。
戸邉理事は「水素利用を拡大する動きとして現在は1970年代、90年代に続く、第3波の中にいる。今の流れはグローバルな規模で利活用が拡大していることが特徴であり、国際標準化に対応した規格・基準の策定していくことも重要になる。当協会としても海外の関係団体との連携しながら、日本の水素利活用技術がビジネス面でも世界をリードできるような取り組みに尽力している」と語った。
国内における技術的な実証と基準化の取り組みも加速している。大型液化水素貯槽に関しては、JAXA能代ロケット実験場の近隣に大規模試験施設が開業。同協会では液化水素の漏洩拡散や着火等の大規模試験を実施。これらのデータを基にKHKS化や国際標準への提案を目指す。さらに、大型液体アンモニア貯槽や輸送パイプラインに関するシミュレーション手法開発のNEDO事業にも採択され、ガイドライン案の策定を進めている。
CCS(二酸化炭素回収・貯留)分野においては、CCSパイプラインに関するKHKS基準の策定状況などを報告した。

