水素エンジン向け関連ソリューションの開発進む

産業ガス
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【電子版ガスメディア2026年6月2日より抜粋】

水素エンジン向け関連ソリューションの開発進む

◆高圧供給から点火・制御、運用実証まで展開

商用車を中心に水素エンジンの実用化に向けた動きが活発化するなか、部品メーカーやエンジニアリング企業による関連ソリューションの開発が活発化する。水素エンジンは既存の内燃機関技術を生かした脱炭素化が期待できる一方、水素特有の燃えやすさを制御する技術や安全な燃料供給システムの確立が不可欠となる。各社は自社のコアテクノロジーを核とし、蓄積した知見や既存の部品製造ノウハウを応用した多角的なアプローチにより、モビリティのクリーン化と水素エンジンの早期普及を支えることで、将来の市場における収益拡大を図る。

水素エンジンの効率性と制御性を両立する噴射技術の開発が進んでおり、エンジンエンジニアリングメーカーのアネブル(同)は、吸気ポート噴射によるシリンダー内混合気の均質化と、直接噴射による高出力化の双方に対応するインジェクターを搭載した「デュアルインジェクションシステム」を開発し、ベンチマークテストを実施している。

燃料の噴射方式や混合気の最適化が進む中、水素特有の燃えやすさを制御し、過酷な環境下でエンジンを安全かつ最適に動かす点火とセンシング技術の確立も急務となる。スパークプラグや各種排ガスセンサで世界トップシェアを握る日本特殊陶業は、水素エンジンの燃焼制御に不可欠な排ガス用の水素燃料ガスセンサを開発し、2027年の市場投入を計画する。従来の水素センサはFCVの水素漏れ検知が主流だったが、同社が開発する機器は排気ガス中に残るわずかな残留水素濃度をミリ秒単位で測定できる点が特徴。これにより、異常燃焼であるバックファイアを防ぎ、最適な空燃比を維持するシステム制御を実現した。

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デュアルインジェクションシステム」の水素エンジンを開発

さらに同社は、エンジンの点火でライターの役割を果たすスパークプラグについても、水素エンジン用製品の開発を並行して推進する。水素はガソリンに比べて極めて微小なエネルギーで点火する一方、燃焼温度が高い。そのためプラグ自体の消耗や、熱を持ったプラグが原因で意図しないタイミングで点火する早期着火が起きやすい課題がある。同社は長年培った高度なセラミック技術と電極設計のノウハウを投入し、高耐熱性と精密な点火タイミングの制御を両立した専用プラグの開発を進める。これら専用製品や、燃焼時に発生する窒素酸化物(NOx)を測定するセンサ技術を組み合わせ、環境負荷を最小限に抑える燃焼制御ソリューションの提案を強める。同社担当者は「過酷な排ガスや燃焼環境に耐えるコア技術を生かし、製品ラインアップを拡充することでエンジンのクリーン化を支えたい」と意気込む。

水素エンジニアリングサービスを展開するリケンNPRは、柏崎事業所で水素供給施設を備える水素エンジン専用ベンチの運用に加え、水素ステーションの開業など事業環境の整備を進める。同社は自社でエンジン改造も手掛け、現在は水素エンジントラックを社内の製品輸送などに活用する実証を実施。

リケンNPRの担当者は「今後物流業界で水素エンジンへの改造ニーズが高まる。本格的な需要増に先駆けて関連技術を確立し、エンジニアリング事業の成長へつなげたい」と語った。

また、市販の燃料電池車(FCV)「ミライ」の水素タンクへ高圧水素供給バルブや減圧弁を供給するジェイテクトは、過去の実績とノウハウを生かし、水素エンジンやモビリティ向け高圧水素供給システムの提案を強化。

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ジェイテクトは水素エンジンやモビリティ向け高圧水素供給システムの提案を強化

同社は機能ごとのユニットを中心に、市場へ10万個以上の量産品を供給してきた実績を有しており、マニホールドや高圧配管、充填口、エンドプラグ、オンタンクバルブ、安全弁などを単一システムへパッケージングし、さらなる収益拡大を目指す。

ジェイテクトの関係者は「一社がシステムとして提供することでメンテナンス時に部品ごとの問い合わせの手間が省け、ユーザーや車両メーカーの窓口が簡略化するメリットがある」と強調する。

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