【2026年8月4日更新】こっこー、スクラップ加工に余剰電力由来 グリーン水素を溶断ガスとして利用する実証開始

産業ガス
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【電子版ガスメディア2026年8月4日号より抜粋】

こっこー、スクラップ加工に余剰電力由来

グリーン水素を溶断ガスとして利用する実証開始

◆水素系燃料混合ガス「HL-1」使用、フォークリフト燃料への応用視野

産業廃棄物処理とリサイクル事業を展開するこっこー(広島県呉市、槙岡達也社長)は7月下旬から、呉リサイクルセンターにおいて、太陽光発電の余剰電力を活用して製造したグリーン水素をスクラップ加工の溶断ガスとして利用する実証実験を開始した。

実験はくれ産業振興センターの脱炭素技術等事業化可能性調査補助金に採択された事業で、企業の脱炭素化と資源再生を融合させた先進モデルの確立を目標に掲げる。リサイクル現場では、マグネットクレーンやプレス機の稼働により数秒単位で電力消費量が激しく変動する。

[ 実証実験の概要 ]

そのため、呉リサイクルセンターに設置した自家消費型の太陽光発電システムでは急激な需要変化に対応できず、発電可能な電力の約半分にあたる年間約40万キロワット時を有効活用できていない課題があり、これを解決する手段として、余剰電力による売電や蓄電、燃料電池などの活用策を検討してきた。

そのようななか余剰電力により水電解装置から製造したグリーン水素を、従来のプロパンガスに代わる鉄スクラップの溶断燃料に活用することで余剰電力の活用と溶断工程で生じるCO2発生量削減を両立させる取り組みを開始。水素は炎が見えない性質があることから、実験時には作業時の安全リスクを回避するため既存のプロパンガスと一定の割合で混合して運用している。

今回の実験では溶断用ガスに水素系燃料混合ガス「HL-1」(日本酸素・日酸TANAKA)を使用し、従来のプロパンガス100%での溶断と比べ、事業活動による直接的なCO2排出量(スコープ1)を年間約12―23トン、置換率に応じて削減できる見通しであるという。

また、水素混合ガスによる溶断はCO2削減に加えて、現場作業の効率化と環境改善にもつながるとされる。従来のガスに比べて炎がバーナー内部に逆流する逆火が起こりにくく安全性が高いほか、ススが少なくノロが取れやすいため作業効率が向上する特徴を持つ。加えて、輻射熱も小さく作業者の熱負担軽減にも貢献する効果があるという。

同社は2023年に中小企業向けの科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標(SBT)認定を取得し、2030年までに排出量を2022年度比で42%削減する方針だ。太陽光発電の自家消費に加えてLEDやCO2フリー電力などを導入しているが、さらなる削減には化石燃料からの転換が欠かせない。グリーン水素の用途として、溶断だけでなくガラス軽量発泡資材の焼成やフォークリフトの燃料への応用も視野に入れる。

製造業が集積する呉市では、原材料調達から廃棄までのサプライチェーン全体における間接的なCO2排出量(スコープ3)の削減が重要な課題となっている。

リサイクル工程の低炭素化は資源を供給する取引先企業の環境価値向上に直結する要素だ。さらに建物の解体業務を行う同社は、資源の採取から製造、施工、使用、解体までの生涯全体で排出するCO2の総量を示すライフサイクルカーボンの削減を見据えた取り組みを進める必要がある。

今回の調査を契機として、脱炭素エネルギーを社内の資源再生プロセスに融合させる脱炭素型資源再生プロセスの確立を目指す構えだ。脱炭素化と循環型経済を同時に実現する呉市発の先進モデルを通じ、地域社会とともに持続可能な未来を創り上げる。

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