【2026年8月11日更新】日本炭酸瓦斯、亜酸化窒素活用のエスプーマの普及牽引

産業ガス
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【電子版ガスメディア8月11日号より抜粋】

日本炭酸瓦斯

亜酸化窒素活用のエスプーマの普及牽引

◆ラーメン・うどんなど麺類にも利用が拡大

麻酔用の「笑気ガス」として知られる亜酸化窒素などガスの性質を活用し、クリームやフルーツから醤油、フォアグラに至るまで、風味を保ちつつ食材のテクスチャーを変える調理法「エスプーマ」は料理の外観や味わいに付加価値を付与可能な調理法として、幅広い分野の飲食店で活用が拡大する。そのようななか、日本炭酸瓦斯は国内における業務用エスプーマ調理システムのパイオニアとして「エスプーマアドバンス」の製造と供給を通じて普及を牽引する一角を担う。

亜酸化窒素によるエスプーマは1994年頃にスペインのカタルーニャ州コスタ・ブラバのロザスにあったレストラン「エル・ブジ」が開発した調理技術。

密閉された耐圧性の専用ディスペンサー(ボトル)の中にペースト状や液状の食材を入れ、そこに高圧の亜酸化窒素ガスを充填。亜酸化窒素は水や油に溶けやすい性質があるため、圧力をかけることでボトル内にある食材の中にガスが多量に溶け込む。その状態でディスペンサーのレバーを引き、ノズルから食材を大気中(常圧)へ放出すると、容器の内と外で急激な圧力差が生じる。圧力が下がることで、食材の中に溶け込んでいた亜酸化窒素が一気に気体に戻ろうとして膨張し、食材の中に無数の微細な気泡を作り出す。

ただ水分にガスを溶かして放出するだけでは泡はすぐに消えるが、食材には乳脂肪分やゼラチン、寒天などの増粘・保形成分(つなぎ)が含まれており、つなぎ成分が膨張した細かい気泡を包み込んで閉じ込めるため、ふんわりと軽いムース状の泡が維持されエスプーマと呼ばれる状態になる。

亜酸化窒素を活用したエスプーマは1990年代後半から欧州の高級店を中心に普及を見せる一方で、当時の日本において亜酸化窒素は医療用の用途でしか認可を受けていない状態で食品用ガスとしての利用は不可であった。そのため、当時の国内におけるエスプーマでは炭酸ガスを代用のガスとして利用しているケースもあり、現在も国内における家庭用のエスプーマは法規制の関係でカードリッジ型容器に充填された炭酸ガスが基本使用されている。

【エスプーマアドバンス】

そして、2005年3月の厚生労働省による食品添加物(指定添加物)としての正式認可されたことで国内でも亜酸化窒素を利用した業務用のエスプーマが国内でも解解禁。認可直後は、フォアグラのムース化など高級フレンチやイノベーティブ・ガストロノミーといった富裕層向けの飲食店で導入が進んだ。

その後、機材の流通とともにカジュアルな飲食分野にもエスプーマを利用する流れは波及。スターバックスなどカフェチェーン店で、ドリンクの上のホイップクリームを手で泡立てず、一瞬で大量に盛るための業務効率化用の装置として国内でもエスプーマは定着した。

さらに2010年代にはエスプーマをシロップに適用し、空気のように軽い泡状のソースが氷に乗った「進化系かき氷」が続々と登場。SNSなどで食感とビジュアルが注目を集め、2015年頃には高級かき氷ブームとともにエスプーマの知名度がより高まることとなった。

現在も飲食店側の工夫により、様々な活用方法が開拓されており、2010年代後半から現在にかけてはラーメンスープに鶏白湯やサーモン、鯛などの出汁をエスプーマ化して乗せる「泡系ラーメン」などを提供するラーメン屋が現れており、ラーメン愛好家からの関心が高まっている。

また、器の表面を主にじゃがいもをムース状にした真っ白な泡(エスプーマ)が覆う「白いカレーうどん」などが視認性と独特の風味や食感で話題を集めるなど、麺類に新たな体験や付加価値をつける調理法の一つとしてのエスプーマが活躍する。

日本炭酸瓦斯の関係者も「エスプーマは既に確立している使用方法に加えて、レシピのアレンジなどユーザー(飲食店)側のアイディアにより、新たな利用方法が開拓できる余地がある調理法であり、市場拡大への期待も大きい」とする。

一方でエスプーマに使用する亜酸化窒素は医薬品医療機器法の「指定薬物」に指定され、医療や食品調理など正当な用途以外の所持や使用、製造、輸入、販売、ならびに譲渡は原則禁止となっている。

そして、日本では麻酔効果を悪用した娯楽目的の吸入など「ドラッグ」としての利用を規制する意味もあり、亜酸化窒素は使い捨てガスカートリッジ型容器の形態では食品添加物の認可を取得していない。そのため、エスプーマ用途における亜酸化窒素はメーカーや販売店による厳格な管理化にある高圧ガスボンベから専用ディスペンサーに充填した上で利用する方法が基本となる。

こうした法規制をクリアした上で、飲食店にとっても安全で利用しやすい業界用のエスプーマシステムとして誕生したのが日本炭酸瓦斯の「エスプーマアドバンス」だ。

同システムは日本におけるエスプーマの普及拡大を促進する目的で同社が開発。高圧ガスボンベと充填器やディスペンサーがセットとなった調理システムで身元が確かな飲食店のみにレンタルする形式で高圧ガスボンベごとシステムを供給している。

ガスボンベの設置場所やシリアル番号はメーカーと販売店が厳格にデータ管理しており、使用後は必ず販売店が回収を行い、一般向けの譲渡など不正目的の転用を物理的にもシステム面でも防ぐ体制を構築する。

ガスボンベ内には厚生労働省が指定する食品添加物用として、厳格な成分規格を満たした純度の高い亜酸化窒素のみを充填し、安全性を担保。食品とガスを混ぜるディスペンサーも、日本国内の食品安全基準を満たす設計である。

同システムでは安全な減圧弁(圧力調整器)を備えた据え置き型の専用スタンド(充填器)を採用し、高圧ガスに関する専門知識のないスタッフでも、事故やガス漏れを起こさず安全かつ法的な範囲内の圧力でディスペンサーにガスをチャージできる構造となっている。

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