常石グループ水素エンジンR&Dセンター 、開発から貯蔵、船舶への充填までを一気通貫

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【電子版ガスメディア2025年12月16日号より抜粋】

常石グループ、水素エンジンR&Dセンター

開発から貯蔵、船舶への充填までを一気通貫

常石グループでは2024年9月に、水素エンジン関連事業を展開するジャパンハイドロ(広島県福山市、神原満夫社長)が「水素エンジンR&Dセンター」を開所、今年の10月には、同社が供給する高出力の水素混焼エンジン、大容量高圧ガス水素ガス貯蔵および供給システムを搭載した、国内初の水素燃料タグボート「天歐」の引き渡しを行った。今回、同社の水素エンジンR&Dセンターを訪問し、水素エンジンの船舶等への利用の現状と今後について取材した。

水素エンジンR&Dセンター

常石グループの水素エンジン関連事業の中核をなすジャパンハイドロは、同クループとベルギー海運大手CMBグループにより2019年に設立、船舶用水素エンジンや船舶、港湾設備を中心に、水素活用による脱炭素ソリューションを実現するためのエンジニアリング・コンサルティングを行っている。

同社が昨年9月に設立した水素エンジンR&Dセンターは、水素エンジンの開発から水素の貯蔵、船舶への充填までを一気通貫で実施できる施設となっている。また、こちらの施設は水素エンジン開発を目指す研究機関や企業も活用できるオープン型ラボとして、産学に開かれたセンター利用を行っている。

今年10月から活用が始まった水素燃料タグボート「天歐」は、デンマーク「BEH2YDRO」製の12気筒水素混焼エンジン2基を搭載、水素およびA重油を使用燃料とする。従来の化石燃料のみを使用するタグボートと比べ、推進機関において約60%のCO2排出削減を実現できる。水素を活用したタグボートとしては国内初。R&Dセンターでは、同エンジンの国内認証を取得するための研究を行った。

今回、タグボートを水素混焼エンジンの搭載に選んだ理由について、同社の青沼裕CEOは「タグボートは、大型船の接岸・離岸の補助をするなど必要な馬力も大きく、激しい出力変動への対応が必要となる。今回タグボードを選んだのは、敢えてそうした厳しい環境でも使用できる実用性を持つことを示したかった」と語る。

また、混焼を選んだ理由については「天歐では、水素との混焼により要求出力と環境負荷の少ない燃焼のより良いバランスを保つことができる上、重油のみでも運行できることができ、運用する側にとってもリスクが非常に少ない」と、そのメリットを説明する。

同社では今後、同船を様々な港湾等で活用してもらうことで、水素燃料タグボートの信頼性や実用性をアピールしたい考えだ。

燃料として使用する水素高圧ガスの供給については、現状、R&Dセンターにある充填設備を活用しているが、各地の港湾で「天歐」への水素ガス供給を可能とするため、洋上での高圧水素ガスバンカリングを可能とする「洋上水素ステーション」が進められている。

青沼CEOは「水素の利活用については、供給インフラの整備も重要。洋上水素ステーションの開発は順調に進んでおり、『天歐』とともに実際に運用してもらい、港湾での水素エンジンを搭載した船舶利用の拡大につなげていきたい」と語る。

現在、R&Dセンターでは、「BEH2YDRO」製の水素専焼エンジンの国内認証取得に向けた研究を進めている。このエンジンは発電用とすることで、26年を目標に開発・実証運転を予定しているゼロエミッション船への搭載をはじめ、陸上施設を含めた様々な活用を視野に入れている。

今後の事業の方向性について青沼CEOは「水素混焼エンジンの先に、専焼エンジンがあるのではなく、ユーザーの状況に応じた水素活用に関する様々なプロジェクト提案を行い、収益化を図っていきたい」と語った。

 

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