ユタカ・松本工場ユタカー加工・溶接・組立など一貫体制で幅広い製品に対応

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【電子版ガスメディア2026年1月13日号より抜粋】

ユタカ、松本工場
加工・溶接・組立など一貫体制で幅広い製品に対応

国内随一の技術によりガスのレギュレーター製造を行うユタカ(東京・大田区、豊川和顯社長)の松本工場(長野県松本市)は約60人が勤務し、同社の製造を支える中核拠点だ。一般品から半導体向け機器、医療ガス関連まで幅広い製品を一貫体制で手がけ、多品種少量生産を地道に積み重ねてきた現場である。自動化と手作業、開発部門との連携を組み合わせながら品質を磨く松本工場を取材した。

ユタカ松本工場は、加工、溶接、組立までを行う一貫体制を取っており、その中で細分化された作業や検査など多くの工程を経て同社のレギュレーターは完成する。

松本工場では同社製品のうち、一般品と半導体向けの両方を製造しているが、クリーンルームを備えていることもあり半導体向け製品は松本工場のみで生産されている。一般品は主にOEM供給品で、医療ガス用の調整器についても松本工場が唯一の製造拠点となっている。開発は東京工場と松本工場の技術部門が密に連携しながら量産や改良を進める。東京工場は特注品を中心に開発を行い、その成果を松本工場が安定生産へとつなげる役割分担だ。

工場内では加工工程を中心に自動化が進んでいる。10年前には各工程で人手作業が多く、1日30個程度しか生産できなかった機種があったが、生産性向上のため、加工機メーカーに特注して開発した専用加工機を導入し、現在では1日120個を生産できる体制を構築した。また、真鍮部品の加工や半導体向けステンレス部品の加工など、材質ごとの特性に応じた工程設計を行い、例えばCO2ガスを使用する場合は通常はヒーター付きレギュレーターを使用するが電源が無い場所でも使用出来るようにノーヒーター型レギュレーターを生産しており、外気から熱を吸収しやすいように表面積を多くしたフィンを使うなどの工夫を施している。細かな工程を一つひとつ積み重ねる姿勢が、安定した品質につながっている。

レギュレーターに継手を取付けるために溶接を行っており、松本工場には溶接技術者が3人在籍している。溶接手法としては差し込み溶接と付け合わせ溶接に取り組んでいる。手溶接である差し込み溶接では、パナソニック製溶接機を使い、微細な溶接を手早く仕上げていく。最初は難しかったものの、先輩溶接士に教えてもらい、今では1日に80~100個の溶接を終えられるまでになっている。

自動溶接である付け合わせ溶接も特徴的だ。フロニウス製溶接機を用い、内側のシールドガスにはアルゴン100%、外側にはアルゴン95%に水素5%を混合したガスを流している。

ユタカ・松本工場

高い電流値で長時間溶接すれば溶け込みは得られるが、熱影響が母材に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで水素を5%混合することで、短時間の溶接ながら適切な裏波を形成できる条件を見いだしたという。

溶接前には約10秒のプレパージを行い、溶接後もすぐに空気を入れずアフターパージの時間を確保する。どうしても発生する溶接焼けはワイヤーブラシで除去し、電解研磨のような後処理工程を省く。先輩溶接士からの創意工夫の伝承により、ガス流量や治具、磨きなどの手法が確立した。

検査工程では、溶接後の中間検査として耐圧検査を実施する。製品一つひとつに対し、実使用時のガス圧力の1・5倍を加え、安全に作動することを確認する。万一、品質不良で破損した場合に備え、耐圧検査は水中で行う徹底ぶりだ。

組み立て工程のさらなる自動化は今後の課題だが、現場では一つひとつの作業を泥臭く積み上げている。開発部門との連携、自動化設備の導入、溶接条件の最適化、厳格な検査体制。そのすべてが組み合わさり、松本工場のものづくりを支えている。

 

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