都内高校生ら62人が熱戦 東京都溶接協会、若手人材育成溶接コンクール
(「溶接ニュース」2026年2月10日付 8面より)
東京都溶接協会(横田文雄会長=横田アスコム社長)は「第11回若手人材育成溶接コンクール(高校生溶接コンクール)」を昨年12月11日から今年1月31日にかけて全6会場で開催し、高校生と技術専門校生ら計9校・62人の選手が参加した。1月10日、東京・江東区の東京都溶接協会で行われた際には、計4校・20人が出場。中板の突合せ継手を課題に競技種目である被覆アーク溶接で日頃の練習の成果を競い合った。
冒頭、横田会長は開会挨拶で「今年の干支である丙午は火の気が強く、情熱や行動力の高まりを象徴するとされ、いまだ下向きがちな国内景気も活気づくことが期待される。コンクールに出場する若い皆さんからは丙午に負けないエネルギーや勢いが感じられ、本日はその力を存分に発揮してもらいたい」と選手らを鼓舞。続いて競技委員が競技の方法や注意事項を説明した後、参加選手は2グループに分かれて競技本番に臨んだ。
東京都溶接協会は高校生などの若手人材を対象に日本のものづくりを支える溶接技能の普及を図るとともに、製造業の担い手育成支援を目的とした溶接コンクールを毎年開催。参加資格は都内および近郊の高校生のほか、技術専門校生(職業能力開発センター訓練生)や申し込み校の推薦がある生徒とし、関東甲信越高校生溶接コンクールの予選会を兼ねて行う。
(競技の様子)
競技種目は被覆アーク溶接の部の1種目で、競技時間は30分。競技課題 溶接技能者評価試験(JIS Z3801/WE S8201)の「A-2F」に準じ、SS400・板厚9ミリの中板に裏当金ありの条件で60度Ⅴ形開先による下向突合せ継手の溶接を行う。最終層は競技材の中央部にある30ミリの指定範囲内でビードを継ぎ、アーク中断を申告し、実行委員の確認を受けた後、同一方向に競技材終端まで溶接する。
当日出場したのは、東京科学大学附属科学技術高校2年生4人、科学技術高校2・3年生8人、八王子桑志高校1・2年生7人、北豊島工科高校4年生(定時制)1人の計20人で、ほとんどが初参加。道具と服装のチェックを終えた選手らは割り当てられたブースに入り、開始の合図で溶接作業に着手。自身が理想とするビード形状を念頭に細心の注意と手際の良さで1層1層仕上げていき、一番の難所である最終層の棒継ぎ部に差し掛かると特に丁寧な手つきで溶接を進める姿が見受けられた。
競技終了後、提出された競技作品の審査では裏表の外観試験、超音波探傷試験の合算(200点満点)から違反行為や不安全行為などを減点する方式で評価・採点して順位を決定。審査委員会は通例、2月中旬までに開催され、同委員会の成績報告に基づき受賞者を選定し発表する。
■出場選手の声
同コンクールに参加した選手らの表情からは競技本番を前にした緊張感、優勝への熱意、溶接を楽しむ気持ちなどが伝わってきた。そのうち数人から練習時の課題、本番への意気込みや競技終了後の手応え、溶接への興味などについて話を聞いた。
▽中井康介さん(科学技術高校3年生)
「今回が初出場。約1ヵ月半の期間、平日に1-2時間練習してきた成果を発揮したい。卒業後は進学を志望しているが、将来は手先の器用さを生かせる職業に就きたい。溶接職種も選択肢の一つだ」
▽古川美雨さん(同2年生)
「昨年も出場した。特にウィービングの練習に時間を使い、前回よりも上達したと思う。溶接はビード外観などから技量の向上が分かりやすく、成長を実感できたときが非常に楽しい」
▽濱田凌輔さん(同2年生)
「採点では内部欠陥のマイナスが大きいので、中身の出来を重視して練習を重ねた。競技作品に満足していないが、一定間隔で波打つようなビードにはなったと思う。技量が問われるものづくりの仕事には関心があり、溶接関係も含めて進路を検討したい」
▽古幡心さん(八王子桑志高校1年生)
「コンクールに向けてビードを置くところから始めて徐々にだが均一にビードを引けるようになっていった。本番では最終層の出だしで少し失敗したものの、棒継ぎから終端までは上手くできたのではないか。今後も溶接の技能を磨き、将来的には溶接関係の仕事に就きたいと思う」
▽大島琢巳さん(同1年生)
「最終層の棒継ぎとビード形状を重点的に練習してきた。本番でミスを出してしまい、前日の練習では今までのベストの仕上がりだっただけに悔やまれる。金属同士を溶かして接合する溶接プロセスは興味深く、やっていて楽しい」
(選手全員で記念撮影)
(「溶接ニュース」2026年2月10日付 8面より)



