令和の職人は「てやんでい」と言わない 上代工業(株)力石璃乃さんインタビュー(溶接ニュース2024年2月13日号より)

技能者
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 エレベータ部品の溶接女子

神奈川県川崎市にある上代工業株式会社は、50人以上の技能者が活躍する町工場だ。首都圏の工場の中では多くの技能者を抱える同社には、15個の溶接作業ブースが設置されている。勤務する溶接士は、その作業ブースで、半自動溶接とティグ溶接を駆使してエレベータ部品などを手掛けている。

そんな同社で、アーク光を纏い溶接作業にあたる紅一点の溶接女子が、力石璃乃(りきいしりの)さん。今回のWelding Mateでは、そんな力石さんに、同社と、溶接の魅力について話を聞いた。

作業の柔軟性担保には溶接士の手作業が最適.jpg

鋼板を大電流で溶接する力石さん

 令和の職人はてやんでいと言わない

「溶接は女の子には危ない仕事ですが、楽しく頑張っています」というキラキラした印象を与える女性技能者を、たまに目にします。でも、溶接作業はそもそも、頑張るものでも、女性には危ない仕事でもありません。

私にとって溶接は、安全保護具を付ければ安心で、かつ工業高校で学んでいた時に、「溶接って面白い」と夢中にさせてくれた技能でした。

上代工業を就職先に選んだのは、就職活動の一環で見学した時に、「工場っぽさ」があったから。工場っぽさとは、さまざまな設備・機器があることに加えて、技能者が数多く働いている環境だったのが気に入ったのだと思います。将来的には、上代工業にやまほどある全設備を使いこなす技能者として活躍したいと考えています。

これから溶接士を目指す人に伝えたいのは、町工場の先輩社員は「想像しているより、おっかない人ばかりではない」ということ。私自身、入社する時に「怖い人ばかりだったら嫌だ!」と怯えていたのですが、入社してみると優しい先輩ばかりでした。

令和の職人は「てやんでい」とは言わず、トンカチなども投げてこないもののようです。

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