神奈県の凄腕溶接士が集結 全国大会目前に合同練習(溶接ニュース2023年10月17日号より)
神奈川県溶接協会(吉野慎吾会長)は10月4日、IHI横浜工場(横浜市磯子区)の技術訓練所で「全国溶接技術競技会(茨城大会)合同練習会および全国溶接競技会立会者説明会」を開催した。冒頭、吉野会長は「今夏は猛暑が続き、現場業務や練習を行うには厳しい環境であったが、ようやく暑さも和らぎ本格的な練習にうってつけの季節になった。選手の皆様は優勝・上位入賞を目指して取り組んでいただき、運営サイドの皆様は全国競技会のスムーズな進行に向けて確認をしてほしい」と挨拶。
その後、堀切幸夫相談役から開催要領説明があり、兼広尚典副会長(IHI横浜工場)の指導のもと保護具と工具点検が行われた後、実際の全国競技会と同じ流れで開先加工(20分間)、溶接作業前準備(5分間)、溶接作業(競技、45分間)、競技終了後の動きといった流れが通しで行われた。
午後からは、石川昌巳エキスパート(日本溶接協会)が実行委員向けに立会審査のポイントを説明した後、立会審査訓練として、アドバイザーの協力を得て違反行為を含めた溶接実技が実施された。選手はIHI検査計測(横浜市金沢区)の協力のもと、エックス線写真撮影・判定および採点を受けてアドバイスを受けた後、練習に励みながら互いに情報交換をした。
同会に参加した被覆アークの部、神奈川県代表の大塚公輝選手(IHI)は「つぶせていない弱点が顕著に出た。初めて全体の流れを通して緊張していたため、中板の申告忘れをしてしまった。大事な経験になった」「職場では先輩のアドバイスのもと、しっかりと練習を重ねている。優勝を目指したい」と練習会の感想と全国競技会への意気込みを語った。
同じく被覆アークの部の伊藤文孝選手(コベルコ溶接テクノ)は「去年出場した青森大会では、実力の70%ほどしか出せなかった。今回はエックス線と曲げのテストで点数を取るために、電源が変わっても一定のレベルを保てるようにしたい」「溶接条件が確定し次第、反復練習を重ねて入賞したい」とリベンジの意志を示した。
また半自動の部の浅海大輝選手(ジャパンマリンユナイテッド)は「運営側の練習でもあると感じ、気負うことなく臨めた。本番と違う規定で想定外のトラブルもあったが、良い練習になった」「あと1ヵ月あるのでこの調子でいけば大丈夫」と自信のほどを語った。
同じく半自動の部の青山正人選手(総合車両製作所)は「時間を計って作業したのが初めてで緊張があり、失敗してしまった。この経験を全国大会で活かしたい」「時間の制限に慣れながら課題をつぶせるようにする」と今後の目標を明確にした。
また、審査員の熊倉益男氏は「100点を求めると失敗する。ブローホールが1個ぐらいあっても良いので、安定して95点を取れるのが良い」「指導員が選手目線で的確にアドバイスできるか、会社が選手に十分な投資ができるかが重要」と解説を述べた。
その後、神奈川県溶接協会の立川晴雄事務局長による乾杯の発声で開始した懇親会では、参加者同士が親睦を深めた。懇親会の最後には、4人の選手が全国大会への想いを発表し、神奈川県の溶接関係者の一体感が一層高まった。
写真キャプションは右から吉野会長、伊藤選手、大塚選手、浅海選手、青山選手