第15回関東甲信越・北陸高校生溶接コンクール 会場の様子と参加選手の声
(「溶接ニュース」2025年5月6日付 8面より)
第15回関東甲信越高校生溶接コンクール同時開催北陸高校生溶接コンクールが4月26日、神奈川県川崎市の日本溶接協会溶接技術中央検定場で開催。関東甲信越地区と北陸地区の各溶接協会指定機関から推薦された全27人の選手が出場し、2班に分かれて競技に臨んだ。
(競技第1班参加選手(群馬、山梨、長野、新潟、富山、福井、石川の14人))
(競技第2班参加選手(栃木、茨城、埼玉、千葉、神奈川、東京、首都圏の13人))
今年度の参加都県のうち茨城県は溶接界の次世代担い手の確保を図り、昨年度に初めて関東甲信越高校生溶接コンクールの予選となる同県高校生溶接コンクールを開催し、選抜選手を送り出した。また、昨年度から溶接部門が正式種目となった「高校生ものづくりコンテスト全国大会」の予選会を兼ねているだけに、その出場権がかかった競技本番は例年以上の熱気につつまれていた。
まず会場で人目を引いていたのは、「溶接魂」と刺繍されたそろいの作業着を着用して参加した埼玉県立大宮工業高校の機械科生徒2人。3年生の中野真輝さんは「曲げ試験で良好な結果を出すため、溶接不良やスラグ巻き込みがないよう対策してきた。このところ調子が上がってきているので、上位入賞を目指す」、2年生の川崎志邦さんは「2層目以降の溶接には自信があったが、初層の裏波溶接には練習で苦労し、ラスト1週間で何とか形にすることができた。本番でも練習通りにできればうれしい」と本番直前の意気込みについてコメント。
(「溶接魂」と刺繍された作業着)
両生徒を引率していた同科実習助手の小石英二氏は「毎年、10人前後の中から校内選考を経た4~5人が県のコンクールに参加している。そこで入賞した2人が本日、関東甲信越コンクールに挑む。ここに来られなかった仲間たちから託された『溶接魂』を胸に気合は十分。昨年度出場の先輩が準優勝したので、今年度はさらに上位の優勝を目指してもらいたい」と語った。
昨年度初開催の茨城県コンクールで勝ち残り関東甲信越に駒を進めたのは、県立高萩清松高校3年生の山口聖騎さんと県立土浦工業高校3年生の岡澤豊さん。両選手に競技終了後の感想と今後の目標を聞いたところ、山口さんは「本番で最終層の外観が上手くいかず課題は残るが、裏波はまっすぐに出せ、中身も問題のない出来だと思う。進路は溶接関連職種を検討している」と話し、岡澤さんは「競技中に周りの作業スピードを意識しすぎて焦りが生じ、途中から気持ちを立て直して最後までやり切ったものの、納得のいく仕上がりとはならなかった。元々溶接が好きで、溶接にのめり込める仕事に就きたい。そこで腕を磨き、技能五輪に出場するのが目標だ」と熱い思いを吐露した。
溶接界では全般に人材不足が慢性化し、製造現場における溶接の技能伝承が課題だ。このため、担い手確保の観点から高校生を含む若手人材の掘り起こしと育成支援の機運が高まっている。こうした中、コロナ禍による休止や規模縮小を経て高校生を対象とした溶接コンクールが全国各地で旧来の開催形式や規模に戻りつつあるとともに、「第15回関東甲信越高校生溶接コンクール同時開催北陸高校生溶接コンクール」や「高校生ものづくりコンテスト全国大会」溶接部門についても今後さらなる盛り上がりが期待される。
(「溶接ニュース」2025年5月6日付 8面より)