優勝は濱井選手(向の岡工校)神奈川県溶協、高校生コンクールを開催
(「溶接ニュース」2025年1月28日付 12面より)
神奈川県溶接協会(吉野慎吾会長)は1月18日、川崎市川崎区の日本溶接技術センターで第16回神奈川県高校生溶接コンクールおよび高校生ものづくりコンテスト神奈川県予選大会を開催。県内7校18人の工業高校生が日頃学んだ溶接技能を競った。審査の結果、優勝の濱井颯太選手(向の岡工業高校)ら4人が入賞の栄誉を手にした。
(入賞選手(右から4位・青柳選手、優勝・濱井選手、準優勝・小林選手、3位・石渡選手))
このコンクールは、溶接技能の普及・啓発を図り、製造業の担い手育成を支援することを目的に毎年開催しているもの。成績優秀者上位2人は「関東甲信越高校生溶接コンクール」および「高校生ものづくりコンテスト関東ブロック予選大会」の神奈川県代表選手に推薦される。
競技課題は、被覆アーク溶接による中板(板厚9ミリ)裏当て金なし下向突合せ継手。最終層でアークを中断し、ビード継ぎが求められる難しい課題となる。選手は表情に緊張感をにじませながらも、日頃の練習を感じさせられる機敏な動作で競技に臨んでいた。
(コンクール参加者一同)
なお、競技前に行われた開会式の中で、吉野会長は「溶接もロボットの導入が進んでいるが、最後に品質を確保するには人の技能が欠かせない」。県立磯子工業高校の大熊敬一校長は「このコンクールを通してもっと溶接技術技能を深めてほしい」。日本溶接技術センターの黒川剛志代表理事は「成績は総合点で決まるため、失敗しても最後まであきらめずに頑張ってほしい」と述べ、それぞれ選手の活躍に期待を寄せた。
(競技会のもよう)
入賞選手ならびにコメントは次の通り。
▽優勝=濱井颯太選手(向の岡工業高校、2年)昨年もこのコンクールに出場し5位だった。優勝という最高の形で雪辱を果たすことができてうれしい。昨年の冬から週6で3時間、休日は9時間練習。昨年の反省を踏まえ、今回は溶接後の清掃にも力を入れた。次は「関東甲信越高校生溶接コンクール」だが、裏波をしっかり出せるようにさらに練習し、優勝を目指したい。将来は溶接事業所への就職を希望しているが、大手企業だけでなく、アットホームな環境で仕事ができる中小企業も就職先の候補に考えている。
▽準優勝=小林佳之依選手(川﨑工科高校、1年)週5で1日3時間練習した。練習の成果で裏波がきれいに出せたことが大きな成果につながったと思う。次の「関東甲信越高校生溶接コンクール」に向けては、クレータ処理を課題に練習し、優勝を目指したい。溶接をさらに楽しむために溶接事業所への就職を考えている。
▽3位=石渡裕二選手(海洋科学高校、2年)毎日放課後に2時間練習した。練習で難しかった裏波が、競技本番できれいに出せたことが勝因かな。将来は船乗りを目指しており、その一環として溶接を学んでいる。
▽4位=青柳蓮選手(神奈川工業高校、1年)週3で1日3時間練習した。練習の成果で溶融池を良く観察できたことが高得点に繋がったと思う。まだ就職のことまで考えていないが、競技会を通して溶接にも興味が湧いた。
(「溶接ニュース」2025年1月28日付 12面より)