京セラ製ディスクグラインダー リンクコントロールシリーズ「Lシリーズ」が研削作業で大活躍 ビーエフ工業磯原工場
ビーエフ工業(本社・東京都葛飾区、村山光男社長)は1939年7月、自動車部品の製造を行う志村精機製作所として設立。56年に東洋機器工業に改称し、化学装置の製造販売を開始した。70年に現社名に改称した後も着実に業容を拡大し、現在に至っている。
バルブ業界のパイオニアとして知られる同社が日本で最初に開発した「密閉型バタフライバルブ」は、国内はもとより中東およびアジア諸国で高い評価を獲得しており、一般工業用から厳しい条件を要求される原子力発電設備、過酷な環境にさらされる各種タンカー・製鉄所など幅広い分野で採用されている。
Lシリーズのディスクグラインダー「LG1000」を適用することで製品の高品質化と高効率化を実現しているという同社を訪ね、導入の経緯から現在の適用状況などについて、河野耕治取締役工場長と山本諭係長に話を聞いた。
バタフライバルブは弁箱に弁体やフランジを取り付ける際に溶接が多用される。溶接後は本体に付着したスパッタや、溶接ビードの余盛などを研削するためにグラインダー作業が必須となるが、同社ではそのグラインダー作業において、数年前から悩まされ続けていることがあった。
「当社ではこれまで同一メーカーのディスクグラインダーと長寿命タイプの研削砥石を組み合わせて研削作業を行ってきた。しかし、使用していたディスクグラインダーが数年前にモデルチェンジされて以降、耐久性に不安な面が散見されるようになり、故障頻度が高くなって作業効率面の悪化を招いていた」(山本係長)。
そんな時に出会ったのがLシリーズだった。
悩みの相談を受けた高圧ガス溶材商社の担当者と、実際の現場で高耐久性を立証したかった京セラとの思惑が一致したことから、開発中だったプロトタイプ機を提供。実際にテストしてみたところ、山本係長はその性能に驚きを覚えたという。
導入しているLシリーズのディスクグラインダー「LG1000」
「当初、『力を入れても絶対に止まらない』という触れ込みだったので、『そんなことなないだろう』と高をくくっていたのだが、試しに研削砥石を付けて板厚20ミリのステンレスを切断してみたところ、力を入れても止まることなく切断することができた。これはすごい!と思って切断砥石で試してみたところ、いとも簡単かつスムーズに切断することができた」と衝撃のファーストコンタクトを振り返る。
さらに「砥石が減ってくると早く削りたいとの思いから力を入れてしまいがちだが、そうするとディスクグラインダーに負担を掛け過ぎて故障の原因になってしまう。その点、Lシリーズは力を入れても問題なくスムーズに研削作業が行えるほか、難削材であるチタンを切る際に回転速度を落としても回転の落ち込みがないのできれいに切れる。高周波グラインダーに比べて同等のパワーを有し、価格面でもリーズナブル、さらに100ミリの砥石が使え、かつ長寿命タイプの砥石が最後まで使い切れる点も魅力」と高い評価を与えた。
Lシリーズは今年3月に正式発売したが、同社には実質的1号機を納入。以後、「製品の仕上げ作業をストレスなく行えている」と山本係長は笑顔を見せ、河野工場長も「今後も買い替えの際はLシリーズの導入を検討していく」と話す。今後もLシリーズは同社にとってなくてはならい存在となりそうだ。
最後に山本係長に今後の抱負を聞くと「Lシリーズを導入したからこれで良いというわけではなく、社員一同、切磋琢磨しながら引き続き加工技術のレベルアップを図っていきたい。現在は比較的厚板のワークに適用しているが、今後は薄物のワークにも挑戦するなど、技術の幅をさらに広げていきたい」と力強く語ってくれた。
なお、京セラではこのほど、Lシリーズのラインアップにストレートグラインダー「LSG6001」を新たに開発した。同製品はコンパクトかつ軽量・ハイパワーが魅力のストレートグラインダーで、▽フィードバック制御で回転数の落ち込みが少なく研削量アップ▽無段階変速で幅広い作業に最適――などの特徴がある。
間もなく発売予定のLSG6001
間もなく発売されるという同製品について山本係長は「現在、峡部、穴部のバリ取りなどでエアー式のストレートグラインダーを適用しているが、エアー式は内部の部品が破損しやすく修理に手間取ることが多い。京セラのLSG6001は小型軽量・ハイパワーだけでなく、耐久性も高いと聞いているので、発売されれば是非とも試してみたい」と期待感を示した。