第59回山形県溶接技術競技会「33人の溶接士が腕競う」 12人の注目選手インタビュー
山形県内で活躍する溶接技能者33人が4月4日、緊張の面持ちでポリテクセンター山形(山形市)に集まった。
左から松田俊輝選手
峯田宇選手、木村勇椰選手(株)ムラヤマ
・木村選手(半自動)
「2週間、1日3時間程度の練習時間を取った。薄板の繋ぎ目が苦手なので、重点的に練習を積んだ。出場するからには優勝を目指す。溶接はだんだん技術力がついているのが、自分で把握できるのが面白い」・峯田選手(半自動)
「邪魔板の部分で1度手を止める時の溶接棒の角度・向きが一定になるように調整してきた。ライバルは同じ工場で働く同僚だ。溶接は、日常業務で行う鉄骨製造の要となる技能のため、インフラを支える重要な技能だと考えている」・松田選手(半自動)
「初出場だ。日常的には溶接部署ではなく組立て部署で勤務しているため、溶接に触れた時間が多いとはいえないだろう。まずはしっかりと作品を形にすること、緊張に負けないように自分に打ち勝つことを目標としている。溶接は手に職でありながら、座学の知識も生きてくるので、やりがいがある」
左から後藤郁人選手、笹原浩太郎選手(株)日立建機カミーノ
・後藤選手(半自動)
「1ヵ月前から1日2時間、直前は1日を練習に費やした。中間層の溶接に苦手意識があり、重点的に練習した。失敗せずにベストを尽くすことが大切だと考えている。最初は金属板だったものが、ショベル部品などの構造物に成形されていく工程を間近で追っていけるのは溶接ならではの楽しみだ」・笹原選手(半自動)
「3回目の出場になる。参加選手で気になっているのは、この大会を3連覇している東北電機鉄工の今野選手だ。金属の溶込みの状態に注意して練習を積んできた。日常業務も、競技会も、溶込みの状態で強度が変わるため、溶融状態を把握できるようになってくると溶接は面白くなる」
左から結城陽太選手、渡邉陸人選手
(株)日立建機カミーノ
・渡邉選手(半自動)
「過去の競技会作品では、内部の溶込みに問題があるケースが多かった。今回はクラックを潰しながら1層づつ丁寧に溶接することを心がける。練習では良い仕上がりだったため自信があり、3連覇している東北電機鉄工の今野選手を凌いで、全国大会に駒を進めたい。溶接は、強度などの正解はあるが、正解にたどり着くための正解がなく奥が深い」・結城選手(手溶接)
「過去数回は半自動の部で出場していたが、今回は手溶接の部に出場した。同じ溶接でも勝手が違うため、同じ事業所の先輩はもちろん、日立グループの別事業所にも相談し、溶接条件を整えた。数多く教わったことを出し切りたい。溶接の魅力は、金属が溶融して一つになる現象で、見ていて飽きずに面白い」
東北電機鉄工(株)
・今野選手(半自動)
「山形県の競技会では3回連続で優勝している。しかし、全国大会に出場し、全国レベルは非常に高い壁だと感じる機会に恵まれ、より、技能を磨きたい。同様の作業であっても、溶接ビードは人それぞれ異なる仕上がりになるのが奥深いところだ。イメージと溶接ビードがピタっと合うと面白みを感じる」・大野選手(手溶接)
「競技会の直前1週間、1日1時間~2時間練習してきた。他社にも凄腕の溶接技能者がいることは知っているが、東北電機鉄工で日々一緒に働く参加選手に負けない結果を残したい。溶接ビードが綺麗に整った時に、溶接を楽しいと感じる」
(株)井上精工
・佐藤選手(半自動)
「1ヵ月、1日2時間程度の練習をしてきた。初出場のため、まずは、しっかりと作品を形にできるように臨む。溶接は一発勝負のため、息を止めて集中しながら一瞬にかける作業に面白みを感じている」・鳥川選手(半自動)
「1層目が不安定になりやすいため重点的に練習してきた。溶接は他の工場作業と異なり火を使うため、特に安全に気を付けながら作業する必要がある。保護具などで安全にさえ気を付ければ、金属が溶融して一つになる様子は溶接にしかない面白みだ」・緒方選手(半自動)
「邪魔板で途切れた溶接ビードを繋ぎなおす時に裏波が出にくい。前回大会では4位だったため、前回よりも良い順位を狙っている。気になる選手は、当然、3連覇している東北電機鉄工の今野選手だ。溶接は過酷な工場作業の印象があるが、入熱直後の溶接ビードの美しさには、アートのような魅力がある」