東洋アルミら、AMで金属くずを再利用

積層造形(AM)
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 東洋アルミニウムは10月4日、NTTデータザムテクノロジーズおよび、日軽エムシーアルと共同し、産業廃棄物として処理されていた金属粉末が材料との金属AM(積層造形)での製造過程で発生する金属くずを再生利用できる技術を確立したと発表した。
 新技術により、従来手法で金属くずとして廃棄していたものを再溶解することで、廃棄物のほぼ100%が再利用可能となる。
 近年、カーボンニュートラルの実現に向けた二酸化炭素排出量を削減など、環境に配慮したものづくりに対する要求が強まるなか、廃棄されていた製品や原材料などを資源として利用する「サーキュラーエコノミー」の概念を製造プロセスに組み込むことは有用な手段の一つとされる。
 金属AMにおいて金属粉末をレーザ照射で溶融することにより立体成形を行う造形法は、照射していない粉末は再利用可能で削り出しによる金属の切削くずを出さないため、3社によると「サーキュラーエコノミー」に属する製法と定義できるという。
 一方で少量ではあるが金属AMでは規定の範囲内に収まる粒度の粉末しか利用しないため、造形中にスパッタなどの影響で粒度が大きくなったオーバーサイズの粉末はふるいにかけ、再利用はせず廃棄対象となる。加えて、造形パーツを支えるためのサポート材も造形が完了すると不要なものとなるため全て除去し、除去したサポート材は金属くずとして廃棄される。
 そこで3社は金属AMにおける製造で金属くずの廃棄を完全になくすことで「サーキュラーエコノミー」を実現するべく協力し、原材料を再生利用できる手法の開発に成功した。
 新技術について3社は「二酸化炭素排出量を削減したモノづくりを可能とするだけでなく、廃棄にかかっていたコストも削減できるため金属AMで製造する部品の原価低減につながり、ユーザーの市場競争力を高める効果がある」と評価する。

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AMで金属くずを再利用するサイクルの概要図

【溶接ニュース2023年10月10日号より】

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