日揮グローバルら、 月面で液化水素・酸素製造プラントを建設へ

産業ガス
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  近年、アメリカ合衆国連邦政府が出資する有人月面探査プログラム「アルテミス計画」に代表されるように、世界的に月面開発の潮流が加速するなか、JAXAは2021年に日本の国際宇宙探査シナリオ(案)2021」を公表した。

 シナリオ内では将来的な月面における水資源利用の実現に向けて、2020年代に月面推薬生成プラント全体システムの概念検討や要素技術検討、地上実証などを行い、30年代にプラント建設地の事前調査や月面実証プラント建設に着手し、40年までに推薬プラントの本格稼働を開始する計画案を示しており、その一環として、JAXAは業務に関する企画型入札事業の公募を実施。日揮グローバルの事業計画である「月面推薬生成プラントの実現に向けたパイロットプラントの概念検討」が昨年末に採択を受けた。

 日揮グローバルの計画では水の電解で水素や酸素を精製した後に液化および貯蔵を行う月面推薬生成プラントを月に建設し、液化水素・酸素をロケットの燃料など月面活動に必要エネルギーとして使用する水を起点とした循環型インフラの構築を目指している。

 月面では川、湖、池、海など目に見える形で水として活用可能な水源の存在は確認されていない。月において水を起点とした循環型インフラを構築していくためには、地球から輸送を行う以外の方法で水源を確保する手段を見出すことが必要になる。

 同社は月の砂に着目し、水を抽出するプランを構想。月はレゴリスと呼ばれる細かい砂に覆われており、月の極域には太陽光が当たらない「永久影」とされる場所がある。-170℃の過酷な低温環境である「永久影」のレゴリス内部には氷の粒が混じっていると見込まれており、採取したレゴリスを加熱し、氷粒を水蒸気に変化させて、砂と分離することで水を抽出。そして、抽出した水を太陽光由来の電力で電解することで水素と酸素の生成を行う。その後、冷却により、液化水素・酸素として貯蔵し、必要な時にロケットの推薬などに利用するプランだ。

 一方で、生成した水素・酸素を推薬やエネルギーとして使用していくには、貯蔵設備からロケットの燃料タンクなどのアプリケーションに月面で充填作業を行う必要があり、安全性や月面に常駐可能な人員の数などを考えると貯蔵・充填設備を月面に設置し、地球からの遠隔操作で充填する方法が現実的なアプローチ方法の一つとなる。しかしながら、月と地球では約38万㌔の距離があり、月面で行う作業を地球上から遠隔操作する場合、良好な通信環境を構築し、不具合無く交信できる場合でも約10秒の通信遅延があるという。

 現在、日揮グローバルでは地球上と月の通信遅延やそのほかの制約条件に対応した、通信・プロセス制御・操作監視の統合システムを構築するべく横河電機と共同で研究を進めている。共同開発では「10秒先を読む技術」および、「僅かな予兆・変調を察知し、事前に対応する技術」の開発を目指す。

(電子版ガスメディア2月27日号から)