独・フラウンホーファー、大型構造物向けレーザ溶接プロセスを開発

22/04/27

 独・フラウンホーファーIWS材料・ビーム技術研究所はこのほど、パートナーと協力して、鉄骨構造用の溶接に代わるレーザ溶接プロセスを開発したと発表した。高強度材料に対応し、工程速度を大幅に向上。従来方法と比較してエネルギー消費とコストを最大80%削減する。
 橋梁、コンテナ船、鉄道車両、風力発電設備などの構造物では、数百メートルにも及ぶ長尺ビードの溶接が適用されている。この溶接には、ミグやサブマージなどのアーク溶接法が適用されている。
 ただ、これらの溶接プロセスでは、アークの強度が低いため、消費されるエネルギーの大部分は溶接に使用されず、母材に吸収され熱影響を及ぼす。このため溶接後処理には、溶接プロセス自体に必要なエネルギーと同程度のエネルギーが必要となることが多い。
 フラウンホーファーIWSでレーザビーム溶接グループを率いるD・ディートリッヒ博士は「これらのエネルギー集約的なプロセスは材料に重大な熱損傷を引き起こし、構造に深刻なひずみをもたらす。さらに、溶接後は非常に高価な矯正作業が必要になる」と、従来型溶接方法における課題を指摘する。
 そこで、ディートリッヒ博士は「VEーMESーエネルギー効率が高く低ひずみのレーザマルチパス狭ギャップ溶接」プロジェクトの一環として、レーザ溶接による代替プロセスを開発した。
 同溶接プロセスは、市販の高出力レーザ発振器を使用し、層数の削減とシーム容積の大幅な削減を実現するもの。これにより「溶接中の母材への熱影響を最大80%削減できる。従来のアーク溶接によるプロセスと比較して溶接材料の消費量を最大85%削減できる」とする。さらに、「母材を矯正する必要もないため、生産時間とコストも削減でき、高強度鋼材にも対応し、シールドガスの使用量も改善することができる。溶接時間も50から70%短縮できる」とする。
 今回の新プロセスは、レーザ溶接特有の大幅に狭いビードと平行なエッジを持つことから品質面でも高い評価を得ている。
 ディートリッヒ博士は「今回の開発により、レーザ溶接が鉄骨建設などの大型構造物の建造プロセスで使用されれば、ドイツの中堅企業にとって大きなセールスポイントとなる。国際競争が激しさを増す中、市場での地位を強化できる」などとし、今後の展開に大きな期待を寄せる。

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