カーボンニュートラルで注目集まる水素切断

21/11/24

 カーボンニュートラルに対する関心が高まる中、水素切断が高い注目を集めている。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で地球温暖化対策の国際合意「パリ協定」の最も意欲的な努力目標を引き続き追求することを確認するなど、地球環境問題に対する関心が大きな高まりを見せる中、ものづくりにおいても二酸化炭素の排出量削減を検討する現場が増えてきたためだ。もちろん切断速度や切断品質の向上などの特徴も高い評価を得ている。水素切断の現状を追った。
 水素切断は、水素にプロピレン系ガスや炭化水素系ガス、プロパンガスなどを添加して切断用ガスとして用いるもの。このため切断に必要な機器構成は従来のガス切断のものと大きく変わらないが、乾式安全器や圧力調整器は専用のものが必要になる。メーカーや使用条件などにもよるが、二酸化炭素の排出量を従来の切断ガスと比較して60?90%削減できるという。
 水素による火炎は、従来の切断ガスによるものと比較してエネルギー密度が非常に高いことが特徴。このため切断速度の向上を図ることができ、燃焼時の発生熱量を抑えることができるため、熱ひずみ、ノロ付着量、ヒューム発生量などの低減を図ることができ、良好な切断品質を確保することができる。
 鉄鋼加工販売業の金森興業(東京・江東区、染谷俊彦社長)は、「二酸化炭素削減に貢献できないか」という考えから同社千葉工場のガス切断機3台に水素切断を導入した。
 当初は火力や切断能力に懐疑的だったため、いつでも水素とプロパンを切り替えることのできるように切断機を改造しての導入だったが、作業効率向上や後加工が少ない点が評価され、水素切断への信頼性は高まっていった。特に、夏場に導入したため、輻射熱が少ない点は多くの社員から評価されたという。
 同社の藤原保雄工場長は「導入に当たって水素切断にどんなメリットがあるのか、顧客にとってのメリットは何かを社内で協議した。現場に水素切断に対する理解を得るのはたいへんだったが、プロパンガスによる切断と比較してひずみや反りが少なく、切断速度が速く、これまで難しかった鋼種や部材に対応できるようになったメリットは大きい。最近は顧客にも美麗な切断面や切断精度などの特徴が評価されるようになってきた」とする。
 最近の水素切断の動向についてメーカーでは「脱炭素化への関心が高まり、問い合わせや引き合いが増加してきている」(大陽日酸)、「カーボンニュートラルの動きが活発化し、新規、既存ともに顧客からの問い合わせが増えてきている」(エア・ウォーター)、「二酸化炭素排出量削減への関心が高まる中、多くのユーザーから『期待通りの効果が得られた』と評価を得ている」(岩谷瓦斯)などとし、各社とも確かな手応えを感じている。水素切断は最新技術というわけではないが、カーボンニュートラルを背景にした再評価を得て、どこまで実績を伸ばすことができるのか、今後の動向に注目が集まる。
 

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