次世代鉄道車両にMg(マグネシウム)、強度確保へ溶接が大きな役割

21/07/13

 新幹線に代表される高速鉄道にはアルミニウム合金が現在多用されているが、さらなる高速化とカーボンニュートラル時代にむけた省エネにむけて一層の軽量化が求められている。選択肢の一つとして注目を集めるのが難燃性マグネシウム合金。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、新構造材料技術研究組合(ISMA)のプロジェクトで試作した車両(部分構体)が、実用化に耐える強度を実現した
 開発した車両の部分構体は、床板同士の直線的な接合部分は摩擦攪拌接合(FSW)その他の曲線などを含む部分はミグ溶接で行った。試験構体は高さ2・9、幅3・4、長さ5・0メートル。
 構体質量は192キロ/メートルで、この値は現在の新幹線車両に使われているアルミニウム合金製構体約300キロ/メートルと比較し、30パーセント強の軽量化となった。
 側面部は、難燃性マグネシウム合金(AX41合金)のダブルスキン形材を使用し、床板と横はり部は 難燃性マグネシウム合金(AX92)合金の中実形材が使われている。
 部分構体の製作のとりまとめは川崎重工業、接合・加工技術は総合車両製作所(横浜市)、マグネシウムの溶接材料は木ノ本伸線(大阪府東大阪市)が担当した。
 今回の「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトは2014年から開発が進められ、16年からは難燃性マグネシウム合金を使った車両の側構体部分のパネル試作、その後、現行の新幹線を想定した構体の試作を行っていた。
 高速車両は通常、走行時のトンネルの出入口で最も高い付加が車両にかかる。その付加に耐えうる接合強度が求められていた。
 今回の構体の設計では、20年間の運用に耐えられる疲労強度を目標とし、溶接部にアルミニウム合金製と同等の疲労強度の「70メガパスカルの繰り返し応力に 14・7万回耐えることができる疲労強度」を設定した。試験構体の強度が最も弱い溶接部でも耐えうる構造設計と溶接形状も新たに考案した。
 現状では5メートル長の試作車両の段階であり、今後実用上の25メートル長にむけて、プロジェクトでは開発を進める方針。
 新幹線などの高速鉄道は海外輸出も進む、一大プロジェクトでもあり、今後の車両軽量化に向けた開発に期待が高まる。

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