200メートル煙突溶接部の目視にも成功・ドローンによるプラント目視検査

21/06/25

 ドローンをプラントのタンクといった鋼構造物の溶接部などの検査に活用する動きが活発化している。検査にドローンを用いることで足場の設置が不要となり、コストダウンの効果が見込まれるほか、高所に人を配置することが不要となるため人件費の削減と安全性の向の両立、狭あい部など人では目視しにくい箇所を撮影することによる検査精度の向上することなどがドローンを検査で使用するメリットとしてあげられる。一方でドローンによる検査は画像で目視できる不具合に限られる。欠陥の定量評価や構造物の内部など詳細を検査する場合や溶接を含む補修計画の策定では非破壊検査と溶接技術に関する知見は必要不可欠となる。そのためドローンによるプラント検査においてドローンのサービスを提供するソリューション企業と非破壊検査会社が協業する事例もあるようだ。プラントにおける主なドローン活用事例や使用されるドローンの技術や動向および実態について取材した。
 ドローンを国内の石油化学プラントや製鉄プラントなどを中心に150ヵ所でドローンによる目視検査を行ってきた実績を持ち、産業用ドローンの総合ソリューションを提供するブルーイノベーション(東京・文京区、熊田貴之社長)は日本工業検査(川崎市川崎区、小野晃彦社長)と共同で昨年、出光興産北海道製油所のダクト内と煙突内においてドローンによる目視点検を実施。ダクト内点検では1日がかりの作業範囲を30分で、煙突内点検でもゴンドラを使い2~3日がかりで作業する範囲を半日で完了した。
 出光興産徳山事業所内の埋設配管内部の目視点検作業では同期の適用検証を実施し、これまで目視点検で5日間かかっていた工数が2時間で終わるなど検査の高速化で大きな効果をあげている。
 同社がプラントにおける目視検査用ドローンとして活用されているのがFLYABILITY社(スイス)の球形型のドローン「Elios 2」だ。同装置は機体全体をカーボン製の球体状のガードで覆っているため、障害物などへの衝突に強い上に衝突防止するセンサーなど屋内で安定して飛行な機能を搭載する。サイズはフレームを含めて、直径約40センチと小型なためプラント内のタンクやダクト内、配管内部などの目視検査で多くの実績を持つ。暗部でも撮影可能1万ルーメンのLEDライトのほか、4Kカメラを搭載し0・2ミリ以上のクラックであれば目視が容易で、内部壁面の溶接部の目視検査などが可能だ。
 操縦士の技量に依存しない非GPS環境下での飛行精度を高める機能を有したドローンも登場している。ドローンを活用した煙突など高所の保守点検業務を主業務とするテクノドローン(岡山県倉敷市、杉本望社長)が開発した煙突内部用点検ドローンはドローンにガイドロープを通し、ガイドロープ伝いに移動させる独自技術で煙突内部でも安定した飛行を可能とした。また、ガイドロープを利用したブレーキシステムにより、壁面との衝突などを防ぐことができる。同社では同機を使用し、精度と安定性の高い目視検査を国内プラントの中心に多くの煙突内部で行ってきた実績があり、発電プラントにある200メートル煙突のステンレス鋼溶接部の目視検査にも成功した。
 ズームカメラと高精細カメラでの撮影を行い、溶接部の詳細な状況を可視化。同ドローンで撮影した数百枚からなる画像のひずみなどを修正しながら1枚の画像に結合するオルソ化を行い、目視検査同等の視認を可能にする画像処理を行った。
 同社の仲間司専務は「煙突内部はGPSが届かないことに加えて、風が吹き上げているため、煙突内部に入るような小型ドローンでは風の影響を受けやすく、壁面に衝突し、その衝撃で墜落してしまうリスクがある。ロープによるブレーキ制御はそうした風に強いのに加えて、ブレーキ中は高さを固定した撮影ができるため検査に必要な箇所の画像データを安定して取得することができる」と同社の技術の強みを強調する。

TOP画面に戻る

お勧めの書籍