補助金・助成金で事業強化、溶接ロボットなど導入し活路

21/05/09

 コロナ禍の中、国内製造業は厳しい状況が続く。特に資金力や人員に制限のある中小企業は満足な設備投資が困難となり、企業活動の維持や収益の確保に苦戦を強いられている。このような中、ものづくり補助金をはじめとした補助金・助成金制度を用いて活路を見出す中小企業も多数存在する。また、多くの助成金は年に複数回の申請時期があるため、情報収集を日頃からこまめに行い準備を整えておくことも重要だ。
 群馬県藤岡市のHグレード鉄骨ファブリケーター、鐵建(小山慎一社長)は、ものづくり補助金や人材育成のためのキャリアアップ助成金を活用し、事業の成長につなげている。2014年の天吊り型溶接ロボット。その後2018年には神戸製鋼製の2アークタイプ柱大組み立て溶接ロボットをものづくり補助金で導入した。
 同社では補助金の申請業務を極力、自社内で完結させているのが特徴。最初の申請では採択を受けることができなかったが、申請内容のストーリーを明確にし、申請書類をイラストや図版を交えて作成するように再構成。「大型溶接ロボットがでしかできないことが明確に申請書で伝わるように作成しなおした」(同社)ことで採択を実現した。
 この他同社では、溶接管理技術者(WES)の講習会や、ベトナム人技能実習生へのクレーン・玉掛教育にも助成金を活用。また中途採用者を本採用することでのキャリアアップ助成金もこれまでに8人が対象となり需給を受けるなど人材育成にも助成金を活用している。これらの取り組みが結果にもつながり、大型案件の受注や売り上げの向上を果たしている。
 造船用の配管部材加工を中心に手がけるアサマ工業(静岡県富士市、大石満俊社長)は、2019年にものづくり補助金により最新型のパイプ自動切断機「パイプコースター」(丸秀工機製)を導入。高品質化と生産性向上を実現している。
 同社ではそれまでも小型パイプ加工機を導入していたが、その後ヘッダー管の加工などの依頼が増えたことで、パイプコースターの導入を検討。その結果、以前導入した加工機では245分かかっていた切断加工が83分に66%短縮し、エルボ管を接続する枝管も簡単に加工できることを確認した。ステンレスだけでなく圧力配管用炭素鋼鋼管(スケジュール管)などの増加も後押しとなった。「パイプだけでなくH鋼などの形鋼や角パイプにも対応しているので仕事の幅が広がった」(大石社長)と業務の拡大につなげている。
 レーザ金属加工を手掛けるパパス(神奈川県相模原市)は、エネルギー使用合理化事業等支援事業でファイバーレーザ加工機(トルンプ製)を導入した。従来の炭酸ガスレーザ加工機と比較して、加工時間の短縮が図れるとともに3割の電力エネルギー削減を達成擦る見込みだ。松本仁志社長は「エネルギー補助金は金額が大きくハードルが上がってきている。見込みを申請時に提出し、実績を導入後に出すが古い機械と比較しエネルギー効率が上がらなければならない。導入後3年間報告義務がある。依頼しているコンサルタントの力が大きい」と語る。
 コロナ禍以降、新たに創設されたのが、「事業再構築補助金」。2020年度補正事業として創設され、補助金額は通常枠は6000万円で補助率は3分の2と、ものづくり補助金と比較して規模が大きいことから注目を集めている。第1回の公募が5月7日に終了し、今年度中に追加で4回程度実施される。
 中小企業が新分野や、業態転換、事業再編などに取り組む際の、設備導入費用などを補助する。これまでの一定の売り上げ減少などの証明が必要など申請要件も厳しく、注目度の高さから応募倍率も高くなると想定されるが、大型設備投資を計画する製造業にとっては有効な手段となる。
 こうした補助金の申請では「審査官が何を求めているかを分かりやすく表現すること」(鐵建担当者)が重要となる。また申請業務を通じて経営方針や業務上の課題が社内でも明確になるという副次的なメリットも多くの企業で生まれている。多くの助成金は年に複数回の申請時期があるため、情報収集を日頃からこまめに行い準備を整えて多くことも重要だ。コロナ禍の中、どん欲に補助金を活用しようとする企業姿勢が大きくその後の業績を左右すると言えそうだ。

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