鹿島建設、鉄骨現場溶接ロボで超狭先溶接実現

21/04/26

 建設業界では、現場溶接における高能率化や生産性向上への要求を背景に、従来より狭い開先幅で溶接を行う狭開先溶接の動向に注目が集まっている。溶接中のトーチの動きをはじめ、高い技量や溶接管理が求められるため実適用が難しいとされていた。そのような中、鹿島建設は汎用型の可搬型ロボットを用いた自動溶接技術を開発。4月13日、首都圏の建設中の鉄骨溶接にロボットを適用したと発表。開先角度0-5度の超狭開先溶接を実現した。
 一般的とされる35度開先と比較して溶接断面を3-7割削減でき、溶接時間や熱変形を減らせることを確認した。都内の物件に適用し、溶接ひずみの抑制と一日当たりの溶接個所数を約1割増やせることを実証した。ゼネコン各社では現場溶接ロボットの開発と適用を進めている。高能率で生産性の高い自動溶接法の確立に向け期待が高まる。
 同ロボットは汎用型可搬型溶接ロボット「石松」(コベルコROBOTiX製)をベースとし、これにJFEスチールが開発した溶接材料に特殊なレアメタルを添加した溶接法「J-STAR」を組み合わせたもの。
 0-5度という肉眼ではわからないほどの極めて狭い狭開先部の溶接が可能となるように、溶接チップの先端部に角度をつけた「先端曲がりチップ」を用い、トーチの反転と溶融池の積層を繰り返すことで溶接を可能とした。
 JFEスチールが開発した先端曲がりチップを鹿島がカスタマイズ。「現場溶接部の開先部のバラツキに対応できるように改良した」(鹿島・広報室)。
 低ヒュームで安定した深溶込みが得られることが特徴のJ?STAR溶接と組み合わせることで、ほぼ平行な開先を1層2パスで積み上げての溶接を実現している。「狭い開先内を安定的に溶接し、通常開先と比べて溶接断面を3?7割削減できる」(同)。板厚が厚くなるほど溶接時間を減らすことができ、生産性とコストの低減を図ることが可能となった。このほか溶接時の炭酸ガスやヒュームの発生を抑制できることから作業員や環境への負荷も低減できるメリットもある。
 同社では首都圏で建設中のオフィスビルの梁上フランジの下向き溶接部358ヵ所に適用した。同社では今後も検証を進め、今後も効果が得られやすい厚板の溶接に積極的に採用し、現場溶接作業の生産性と品質の向上につなげていく方針。
 鹿島は建設工事における「スマート生産ビジョン」を掲げており、溶接をはじめ様々な現場用ロボットを開発し、実用化に向けた取り組みを実施している。

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