自動車産業界におけるコロナ禍の影響 、長引く市場低迷で関連企業に大きな打撃

20/11/18

 コロナ禍による需要の低迷で生産調整を行うなど、自動車産業界は厳しい状況が続いている。溶接においては、抵抗溶接やロボット溶接の最大の適用先であり、レーザなどの先端溶接技術の導入も活発である。また、自動車の製造には2万点とも3万点とも言われる非常に多くの部品が使われるため、完成車メーカーのほか、非常に多くの部品メーカーなどによる独特の産業構造持つ、「裾野の広い産業」である。その部品メーカーにおいてもマフラーなど吸・排気系部品の製造においてはレーザ溶接が広く普及し、足回り部品においてはレーザやプラズマによるテーラードブランク溶接が導入されるなど、自動車産業界は溶接の大きな需要先になっている。そこでコロナ禍における自動車産業界の動向を振り返ってみた。
 溶接に関係する自動車産業界の動きの中で、最も大きな衝撃を与えたのは、名古屋市で自動車部品の溶接・プレス加工などを手がけるイワヰが7月31日に名古屋地裁に民事再生法の適用を申請し、同日に監督命令を受けたことであろう。負債総額は債権者258人に対して47億8361万円。1926年に創業して90年以上の業歴があっただけに、驚きの声も大きかった。業績としては赤字が続いており、前期末では債務超過となるなど倒産の予兆はあったものの、コロナ禍での自動車業界の低迷が決定打となった。
 モーター部品など自動車や二輪車向け部品を手がけるミツバは、人員削減と工場2拠点を閉鎖する方針を打ち出した。500人の募集人員で人員削減を開始した結果、1割上回る549人から応募があり、今年10月末で退職となった。
 自動車の金属部品を手がけるタツミは、予定していた新工場建設を中止。群馬県太田市の敷地3万1000平方?に、延べ床面積4000平方?の新工場建設を予定していた。今年4月1日から6月30日の業績は前年同期比45%減、2億2000万円の赤字となっている。
 曙ブレーキ工業も今年3月には人員削減を実施した。同社はコロナ禍となる以前から経営悪化が表面化して事業再生ADRを申請しているので、要因はコロナ禍だけではない。今年3月に希望退職者募集200人を募集、応募は154人で、自己都合退職者が32人のため、結果的に人員削減はほぼ想定通りとなった。
 自動車業界は本来であれば、EVや自動運転技術など「100年に1度の変革期」とされる中、今年4月からレベル3までの自動運転が条件つきで法律上解禁が予定されているなど、勢いに乗る要素もあった。溶接においてもこれにともなう軽量化や電装化などの技術開発が活発化し、新規需要なども期待されている。
 自動車は日本の主要産業なだけに、溶接界を含めて早期回復を待つ企業は多い。

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