現代の名工、溶接関係から9氏、アーク溶接工の山内さん(豊田自動織機)など

20/11/16

 厚生労働省による「現代の名工」が11月6日に発表。溶接界からは、アーク溶接工の山内途章さん(豊田自動織機)、板金工の遠山良宏さん(トヨタ自動車)など9人が選ばれた。なお、表彰式は9日、新型コロナウイルス感染防止のため、代表者20人により東京・新宿区のリーガロイヤルホテル東京で開かれた。
 現代の名工は、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰する制度。技能者表彰規定(1967年労働省告示第38号)に基づき、卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に技能尊重の気風を浸透させ、技能者の地位および技能水準の向上を図るとともに、青少年がその適性に応じて誇りと希望を持って技能労働者となり、その職業に精進する気運を高めること、さらに広く技能者の模範として将来を担う優秀な技能者の確保・育成を進め、優れた技能を次の世代に承継していくことを目的として毎年開催しているもの。67年の第一回以来、6646人が表彰されており、今回は150人が表彰された。
 斯界関係の表彰者・概要は次の通り(敬称略)。
 ▽山内途章さん(アーク溶接工、豊田自動織機)長年にわたり溶接作業に従事し、熱変異抑制や不純物の巻き込み防止など卓越した技能を有している。山内さんの高い技能はフォークリフト製造の溶接自動化、品質向上、作業性向上にも繋がっている。また、社内外の技能者に対しても技能検定や講習会の講師を務めるなど熱心に指導育成をしており、次世代の卓越した技能者になり得る全国溶接技術競技会選手や高校生など幅広い世代への指導を行い、業界の発展に貢献している。
 ▽遠山良宏さん(板金工、トヨタ自動車)長年にわたり車両開発のボデー製作業務に従事し、板金加工および溶接技能の研磨に励んだ。図面のない状態から要望を忠実に具現化できる板金技能と1?単位で調整し熱ひずみを抑える溶接技能を有しており、イベントカーや開発車両など一品物の製作やレーザ溶接技術の確立に貢献した。
 ▽柏口康治さん(製缶工、三菱パワー日立工場)産業用ガスタービンの燃焼器部品の製作に長年従事し、国内外向けの中小型ガスタービンの製造技術の発展に貢献してきた。材料の特性を熟知し、これまでの経験を生かすことで適正な工法や製作手順を立案し品質確保に大きく貢献している。
 ▽白石五千穂さん(タービン組立・調整工)入社以来、火力発電所に設置される蒸気タービンのタービンロータ組立作業および本体総組立作業に従事している。蒸気タービン製造作業で中核となるロータの組立に際し、タービンロータ1本あたり、約3000枚の翼植え作業を手作業で行うが、翼重量を考慮しながら配置を決定しつつ、翼と翼の間を100分の1?単位で調整し、精密に組み込む高度な技能を有している。
 ▽山崎正人さん(自動車板金工、スズキ試作・金型工場)30年以上試作車両製造における板金部品の製作・修正に従事している。ボデー外板形状における0・01?単位でのひずみを感じ取り、修正を行う技能を有するとともに、最新の技術・設備を用いて製作した簡易たたき台を活用し、効率よく板金部品を製作するなど工法の改善を図り、試作車製造に貢献している。
 ▽加藤達朗さん(自動車部品組立工、小島プレス工業)自動車部品の開発・設計から生産までの業務に精通し、製品開発・設計技能および工程・生産設備設計技能の両方に卓越した複合技能を有している。その技能を生かして大量生産時でも不具合がなく、耐久性に優れ、信頼性の高いはんだ付技能を確立し、品質・生産性向上に貢献している。
 ▽志賀辰美さん(配電・制御装置修理工、豊幸)工作機械の頭脳である制御装置の組立工として、卓越した電気・電子の技能を有している。従来の設備に最新センサを取付け、作業の効率化に取り組むなど、幾多の設備改善を行い、質の高い製品の量産化に貢献した。また、はんだ付作業の社内資格制度の確立や技能検定の指導など人材育成にも熱心に取り組んだ。
 ▽眞山新さん(電気通信機器組立工、NECスペーステクノロジー)宇宙搭載機器は打ち上げ後の修理が不可能であることから非常に高い品質が要求されるとともに、近年では開発コストを低減し、国際競争力を確保する必要性が高まっている。眞山さんは卓越したはんだ付技術と配線技術を駆使し、はやぶさシリーズなど、数多くの衛星に従事し、宇宙プロジェクトの根底を支えている。
 ▽尾?三広さん(電子計算機組立・調整工、アイシン精機)長年にわたり電子機器組立業務に携わり、高度なはんだ付技能をはじめ、回路設計、組立、不具合発見、修復の技能に卓越している。特に、電子部品の小型化に対応した手はんだによる実装方法の開発では、コテ先形状・温度・手順を確立し、はんだ量の過不足なく、強度・導電性を確保し、製品の信頼性を向上した。

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