初心者技能学習に溶接VR。神鋼EN&Mなど

20/07/31

 溶接技能の伝承が製造現場の課題になる中、神鋼エンジニアリング&メンテナンス(神戸市灘区、神鋼EN&M)は、熟練者の手元の動きを3Dモデルで再現することで、初心者が溶接技能を効率的に学習できるバーチャルリアリティ(VR)システムを開発した。VR事業を行う、イマクリエイト(東京・港区)との共同開発。
 これまで溶接の技能教育では、強烈なアーク光によって手元が見えないため、初心者が熟練者の溶接中の模様を見て学ぶことが困難だった。今回のVRシステムでは溶接の熟練者の手元の動きを3Dモデルで再現。初心者がまねることで簡単に学習ができる。
 神鋼EN&Mでは、溶接実習におけるVR研修の現場実証を行い、実技以上の習熟効果を確認した。
 同社は、製鉄所や発電所のメンテナンスや製缶事業などで多くの溶接技能を保有している。熟練の溶接士が多数在籍し、今回の開発では、VR上での溶接部分は実際の熟練溶接士が確認を行い、現実の溶接との乖離が起きないよう忠実に再現した。
 実証実験は、6月に神鋼EN&Mでの社内新人研修で実施し、効果の検証を行った。
 対象者を実技組とVR組に分け、組ごとの成長率を比較したところ、VR組は評価点数のバラツキが少なく、全員が一定レベルに到達した。
 平均3・5点までの達成時間は、VR組は約2日、実技組は約3日で達成と、初心者の習熟スピードアップに、VRの効果が見られた。
 また最終評価の時点で4点以上の取得率は、VR組が高い傾向にあった。
同社では、研修メニューのラインナップを増やすことで、溶接VRレーニングによる溶接技能の習得スピード向上がより明確になる見込みとする。
 同社の溶接講師は「VR組と実技組に分けて研修を行ったが、最終の評価試験を見ても溶接VRの効果はあった」「研修生は、溶接VRトレーニングを楽しみながら出来た事で溶接への関心が持て、レベルアップにつながったと思う」とコメントする。
 開発したVRトレーニングシステムは、被覆アーク溶接、半自動溶接、ティグ溶接に対応。機器はVRヘッドセット、トーチ、アタッチメントで構成される。2020年度中に溶接VRトレーニングシステムとして販売を開始する予定。

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