丸山ステンレス工業、自社ブランドで社員に誇り

20/07/29

 熊本県山鹿市にある精密板金加工業者の丸山ステンレス工業(丸山良博社長)は自社ブランド製品としてステンレス製焚き火台「BonfireGrill(ボンファイヤーグリル)」を自社サイトhttps://stenflame.theshop.jp/で販売している。同製品はクラウドファンディングで目標金額の10倍以上の金額を達成するなど人気を集めている。丸山社長は「溶接やレーザ加工などを用いて誰が見てもカッコイイと思える自社ブランド製品をつくることで社員には技能や仕事に対する誇りを持って欲しい」とし、自社ブランドの立ち上げの成果に期待を寄せる。
 同製品は、ステレンスの薄板(板厚1ミリ)を炭酸ガスレーザ切断機で側面と底面と5つのパーツに切断、各パーツの接合には、強度を確保するため、ティグ溶接を用いている。製品の側面はレーザ加工により県花であるリンドウなど同社が所在する熊本県にちなんだデザインの模様に穴あけ加工を施した上で曲げ加工で仕上げている。
 同社は産業用機械や厨房機器、食品機械のカバーなどステレンス製品の製造を手掛ける精密板金加工業者で、近年では半導体の製造装置におけるステレンス部品なども製造している。
 同社の従業員は32人で、このうち17人がステンレス溶接のJIS資格を持った溶接士である。丸山社長は「専任の溶接士は10人ほどだが、溶接は精密板金加工技術で『ものづくり』をする当社にとっては根幹をなす技能である。他の工程を担当する場合でも溶接の仕組みを理解する必要がある」と語る。
 同社は1973年の創業以来、溶接技術やレーザ加工技術などを用いたステンレスに特化した精密板金加工事業を展開。メーカー各社からの部品の下請けを主業務としてきた。
 ボンファイヤーは同社が新設したアウトドアブランド「STEN FLAME(ステン・フレイム)」の第1弾となる製品。一般消費者向けの自社ブランドを立ち上げた理由について「当社はステンレスの精密板金加工分野において溶接をはじめとする様々な高度加工技術を持っている自負がある。一般の消費者が見ても凄いと感じる製品を作り、世間へ発信し、反応をもらうことで社員のモチベーションアップを図る狙いがあった」と丸山社長は語る。
 2年前から計画を立ち上げ、デザイン性と実用性を両立するため試行錯誤を繰り返した。
 「デザイン性を高めるために薄板(板厚1ミリ)の側面に模様となる穴あけを行っている。そのため、強度を確保するのには苦労した。ひずみを抑えるティグ溶接を側面や底との接合に適用することで焚き火台として使用できる耐久性を持たせている。手作りで組み立て溶接をしているが誤差はほとんどない。ひずみ対策など、精密板金加工で培った当社の溶接士が誇る技能が活きている」(丸山社長)
 熊本県にちなんだ模様をした3種類のデザインを揃え、幅185×奥行164×高さ135ミリのコンパクトなサイズを実現。取手もついており持ち運びも容易だ。同製品は3月に募集を開始したクラウドファンディングでも注目を集め、目標金額の10倍以上金額を達成するなど市場の反響は大きい。
 現在、同社のような部品製造を主業務とする板金加工業者にもコロナ禍の影響が出ている。
 丸山社長は「例えば、厨房機器は飲食業が停滞すれば需要は少なくなる。その部品を生産する当社のような下請けも影響は避けられない」と述べた上で、「だからこそ、一般の消費者向けに製品を販売する自社ブランド事業に対する期待も大きい。当社の技術を活かした新製品の開発や販路開拓など行うことで新たな柱となる事業に成長できれば」と自社ブランド製品の展開に意欲をみせる。

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