ビード検査に新たな動き・レーザセンサで判定

20/07/27

 自動化の波が溶接ビード検査にも広がっている。レーザセンサで良否を自動判定し、検査履歴を残す仕組みが主流だ。作業者の負担が減り、検査基準が統一され、トレーサビリティ(品質の追跡管理)が期待できるとして、導入を検討する製造現場が増えつつある。この波に合わせ、メーカー各社も判定ノウハウで競い合う。人手不足に加えてコロナ禍もあり、人の介在を極力減らす「製造現場自動化」の動きは今後も加速しそうだ。
 独・VITRONIC社のビード検査装置「VIRO WSI」を日本で取り扱うユニテクノロジー(名古屋市、関勝宏社長)は今年に入って4台を販売し、08年に1号機を販売して以降、累計約50台を日本で販売した。納入先は主に自動車産業で、強度が求められるホイール、足回り、シート類の製造会社が多い。コロナ禍以降、問い合わせが増えており、住宅関連会社との商談も進んでいる。
 製品は?検査速度?アルミにも対応?画像が残る?など。関社長は「画像データが残ることはマスト(必須)。どういう理由でどうジャッジしたか。それをみんな求めている。あとは検査速度。ホイールだと3秒以内に検査しないといけない工程がある」と話す。
 NG判定された箇所を補修してデータを上書きするソフトも用意し、検査の周辺装置にも力を入れている。94年から欧州のベンツで採用された蓄積を活かし、「良否判定に活かすアルゴリズム(計算方法)で圧倒的に強い」と自信をみせる。
 コアテック(岡山県総社市)の「CORETEC Vison System POLASTAR」は3Dデータから特徴点を抽出することでビードを検出する。溶接ルートに沿って評価線を設定し、評価線に垂直な断面ごとに脚長・高さ・のど厚・余盛・位置ずれなどを設定値と比較して判定する仕組みだ。自動車部品のほか、住宅、造船、製鐵で利用されている。
 サーボ・ロボは検査ラインと検査ロボットをシームレスに統合することで、プログラミングを簡素化し、ロボットレーザ溶接とアーク溶接の包括システムを提供する強みを活かす。同社の「POWER?SCAN」はトーチのすぐ後ろに取り付けたレーザが測定する仕組みで、検査だけのラインが不要だ。発売されたばかりの「i?fact」は、母材とビードの境目がわかりにくい「重ね溶接」などに適用できる。手動で使う「WikiScan」は自動化が難しい橋梁や造船現場で使われている。
 パナソニックとリンクウィズ(浜松市)が共同開発して5月に発売した「ビードアイ」は、溶接機メーカーのパナソニックがこれまで培ったデータを活かし、AIとリンクウィズが持つ三次元データ解析技術を組み合わせて良否判定する。デンマーク・ストルアス社の「ストラクチャエキスパート・ウェルド」は倒立型の装置とソフトウェアで構成される。装置にサンプルを乗せ、LED照明と電動ズーム付デジタルカメラで板厚・のど厚・溶け込み深さなどのデータを読み取ることができるほか、エクセルなどでレポート作成も行える。倍率2.5倍?50倍の「ウェルド5」と20倍?240倍の「ウェルド11」をラインアップ。日本では11年4月から販売を開始している。
 米・コグネックス(日本法人=文京区)は工業用に特化したディープラーニング(深層学習)で世界シェア50%以上を有する企業で、画像分析ソフトウェア「VisionPro ViDi」は工業用カメラと組み合わせて、人の目に迫る分析能力を発揮する。溶接ビード検査は良品・不良品のサンプル画像を複数枚取り込むことで出来上がった製品の良否判断を下すことができ、不良箇所を図示できる。2次元、3次元の寸法計測も、ビジョンシステムとの組み合わせで行うことができる。
 レーザでビードをスキャン(走査)し、画像で良否を自動判定する「光切断法」が検査方法の主流だ。70年代に開発された手法で、取得できる画像の数が増えたことでビード検査が可能になった。ただ、複雑なビード形状に対する良否判定は難しく、装置を導入したものの足踏みしている例もある。導入を検討したシステムインテグレータ(Sier)は「基準を厳しくすれば全部NGで、ゆるくすれば全部OKになる」と難解な作業であることを口にする。精度だけでなく、速度や履歴が残るか否かなど製品によって課題は多い。いま、製造現場で試行錯誤が続いている。

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