導入進むアシストスーツ、溶接用の開発動向を注視

19/10/07

重作業による身体への負担を軽減するアシストスーツが普及段階に差し掛かっている。溶接においても長時間の中腰などの厳しい姿勢を強いられたり、ワイヤスプールの装着などの重量物の搬送などが必要になることからアシストスーツへの期待は大きい。特に、ものづくり産業においては人手不足が深刻化し、女性や高齢者の活躍に注目が集まっていることから身体機能を補佐するアシストスーツへの期待は大きく、大手ゼネコンなどでは導入に向けた実証実験が活発化している。
 溶接関連では2017年、日本船舶技術研究協会が日本財団の助成を受け造船会社などと共同で開発した「造船上向作業用アシストスーツ」のプロトタイプを公開し関係者の注目を集めた。
 造船所の溶接、ガウジング、ひずみ取りなど上向作業の負担を軽減するため、コンパクト型と機能型の2つのタイプについて実証実験を繰り返し、改良を重ね、コンパクト型はその後商品化に至っている。
 アシストスーツの開発は大学系ベンチャーなどの中小企業による研究開発が活発化し、海外メーカーの参入なども目立ったが、足下の国内市場は、イノフェス、アトウン、サイバーダイン、ユーピーアール(順不同)の4大メーカーに絞られつつある。これらのメーカーが、大手ゼネコンなどの協力を得て実証実験を展開している。例えば、サイバーダインでは2015年から大和ハウスの建設現場をはじめ、フジタや大和リースの工場などで実証実験を展開。さらなる軽量化をはじめ、雨天や墜落制止用器具にともなう適用範囲の制限などの課題を抽出。18年には大和ハウス工業の全国9工場に合計30台を導入するという成果をあげている。
 ただ、これらのアシストスーツは、モータやコンプレッサなどの動力によって動きをサポートするものであり、約100万円という価格が普及のネックになっている。その一方、着実に実績を伸ばしているのが「無動力タイプ」と呼ばれるモータなどの動力を持たないアシストスーツである。
 同製品は、ユーピーアールの製品を例にみると、背中から骨盤にかけて第二の背骨に相当する外骨格を装着することで椎間板の圧力を制御し、負担の少ない作業姿勢(姿勢角度)をキープ。さらに腰を安定させるためのベルトや腰から膝の弾性生地によるマッスル機能(弾性による反動力)により身体をアシストする。
 価格は数万円程度と手頃であり、重量物の持ち運びなどに対する低減効果も、メーカーや製品、作業内容などの条件によって異なるが、おおよそ2?3割程度の労力低減効果が得られるとみられることから徐々に普及がはじまってきており、中には「売上が倍増している」というメーカーの声も聞かれる。ある溶接事業所からは「建設現場でアシストスーツを使用しているのをみかけた。少し試してみたが、確かに動きが楽になり、溶接でも試してみたいと思った」という声も聞かれるが、その一方で溶接はスパッタの飛散があるため、溶接エプロンや作業着の下に装着しなければならないなどの課題も指摘されている。これからアシストスーツが溶接向けにどのぐらい普及していくのか気になるところだ。

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