国土交通省、革新的造船技術研究開発12件に支援

19/06/13

国土交通省は海事生産性革命 (i―Shippin)の一環として造船工程における生産性向上を目的とし、IoTやAI技術などを活用した革新的な造船技術の研究開発を支援しているがこのほど、今年度予算による先進船舶・造船技術研究開発費補助事業(革新的造船技術研究開発)として12件(新規3件、継続9件)の研究開発に対して補助金の交付を決定。新規事業としてジャパンマリンユナイテッドの「片面板継溶接の適用板厚拡大のための新溶接技術開発」とサノヤス造船の「LoRaを利用した外業ステージにおける生産管理の高度化」が選ばれたほか、溶接関係で4件が継続事業となった。溶接関係6件の事業概要は次の通り。
 【片面板継溶接の適用板厚拡大のための新溶接技術開発】船舶の大型化にともなって船体に用いられる鋼板の板厚が増加する傾向にあるが、このような厚い鋼板は裏表両面をそれぞれ溶接する必要があるため、時間がかかる。そこで厚い鋼板でも片面溶接が可能な新しい溶接技術を開発することで、溶接作業を効率化し、生産性向上を図る。
 【LoRaを利用した外業ステージにおける生産管理の高度化】LoRaWANと呼ばれる広域通信可能な通信網を整備し、溶接作業時間の測定デバイスを開発することにより、電波通信への障害が多い建造船内でも溶接作業時間を測定可能にする。これにより、溶接作業時間の詳細データを収集・分析することで、現場の無駄などを減少させ生産性向上を図る。
 【NCデータ準備が不要な溶接ロボットの開発(ジャパンマリンユナイテッド)】現在、現場で運用されている溶接ロボットは、施工対象形状に応じた多数のデータを予め準備 する必要がある。この研究開発は、センシング技術を用いて、溶接箇所を自動認識することで事前のデータ準備を不要とする自動溶接ロボットを開発するとともに、溶接ロボットの適用範囲の拡大を目指す。
 【レーザスキャナを用いた船体曲がり外板の製造支援(今治造船)】船体の曲がり外板は、熟練工によるガスバーナでの加熱、水での冷 却を繰り返して成形されており、長年の経験と高い技術力が必要である。そこでレーザスキャナにより外板の曲 がり具合の計測を容易に行いつつ、プロジェクションマッピングにより、加熱すべき位置・方向を鋼板に表示する技術を開発し、品質精度の向上、生産性の向上を図る。
 【造船工程における作業モニタリングの高度化(ジャパンマリンユナイテッド)】溶接や組立などの造船工程における作業をIoTなどの技術を活用してモニタリングし、多くのデータを収集する。そのデータを多面的に分析し、ムダを顕在化させ、造船計画の最適化を行うことで効率化を図る。
 【造船工場の見える化システムの開発基盤「モニタリング・プ ラットフォーム」の構築と切断工程および小組立工程へ適用する研究開発(東京大学、新来島どっく、名村造船所、小池酸素工業)】切断工程と組立工程を対象として、作業者の作業状況やクレーンの稼働状況を画像解析などにより自動で記録・分析する「見える化システム」を構築する。同システムにより、各工程の無駄などを把握改善することで現場作業の効率化を図る。

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