JFEスチール、鉄鋼生産にレーザ溶接

19/06/05

◇30キロ級、世界初適用
 JFEスチールは5月22日、大出力真空レーザ溶接技術を鉄鋼生産プロセスに適用したと発表した。定格出力30キロワットの大出力レーザによる真空中でのレーザ溶接技術を開発し、クラッド鋼板の生産性向上を目的に西日本製鉄所(福山地区)厚板工場のクラッド鋼板製造工程に導入した。同社によると、30キロワット級の大出力レーザを用いた真空レーザ溶接の鉄鋼生産ラインへの適用は世界初という。クラッド鋼板は、炭素鋼または低合金鋼(母材)の表面にステンレス鋼など(合せ材)を接合した複合鋼板でケミカルタンカー、圧力容器やラインパイプなどに広く用いられる。
 同社では、母材と合せ材の重ね合わせ面が清浄かつ真空密閉されたクラッドスラブを組立て、熱間圧延を行ってクラッド鋼板を製造している。このクラッドスラブ組立てに用いる溶接に開発した大出力真空レーザ溶接技術を適用した。
 合せ材と母材との間が良好に接合されたクラッド鋼板を得るには、クラッドスラブ組立て溶接において重ね合わせ面全周に安定して深い溶込みを有する溶接部を形成することが重要になる。溶接には複数の方式があるが、真空レーザ溶接は集光レンズでレーザビームを集光することにより溶接に必要な高いエネルギー密度が得られるもので、高速で深い溶込みの溶接ができる点や発生する溶接欠陥やスパッタが少ないことなどの特徴がある。
 ただ、大出力レーザを真空中で長時間照射し続けることから、集光レンズに局所的な温度変化が生じてビームの品質が変化し、良好な溶接部が得られなくなるという問題があった。
 同社は、真空中での大出力レーザ照射用に集光レンズなどの光学系部品の設計の最適化を図り、それらの光学系部品の形状精度や使用中の温度を適切に監視、制御することによりビーム品質の変化を小さくする技術を確立した。また、レーザビームの形状およびレーザ出力、溶接速度などの溶接条件を適切に調整することにより、溶込み形状を制御する技術を構築し、最適な形状が安定して得られる大出力真空レーザ溶接条件を確立した。
 同技術をクラッドスラブ組立て溶接に適用することにより、重ね合わせ面全周にわたり、大出力真空レーザの特徴を活かした高品質で安定した溶接を実現した。昨年度に実際の生産プロセスに導入し、既に1万8千トン以上のクラッド鋼板の製造に適用しており、安定した操業を継続している。

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