JAXA はやぶさ2、衝突装置に電子ビーム溶接

19/04/26

◇小惑星リュウグウの人口クレーター作りに一役◇
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月5日、小惑星リュウグウに人工クレータを作り出すため、小惑星探査機「はやぶさ2」から衝突装置(インパクター)を分離。リュウグウ表面に噴出物を捉え、大きな話題になったが、このインパクターに電子ビーム溶接が大きな役割を果たしている。
 インパクターは、ステンレスの枠の内側に銅板をはめた直径300mmの円盤状の構造を持つ。円盤の裏側に爆薬を仕掛け、爆発すると銅板部分(直径200mm、重量10kg)が吹き飛ぶ。その衝撃によって銅板は砲弾のような円筒形状を形成してリュウグウに到達、クレーターを作る仕組みだ。
 狙った位置に正確に装置を打ち込むには、爆発後にきれいな砲弾状の形を形成する必要があり、これを実現するためには爆発と同時に銅板が均一に外れる必要がある。
 そこでポイントとなるのが、均一な接合強度を持った溶接ビードの形成である。均一な接合強度を持たせるには、溶接部の均一な溶込みが必要になる。ただ、円周の溶接では、溶接の始端部と終端部がほぼ同じ個所になるため熱が逃げにくく、難しい入熱管理が求められる。また、銅とステンレスの溶接では、融点が大きく異なる材料同士の異種材料接合となるため、溶接の狙い位置も非常に厳しくなる。
 同装置の製作にあたった東成エレクトロビーム(東京・瑞穂町、上野邦香社長)は、様々な検討を重ね、これらの課題を満たす溶接方法として電子ビーム溶接を採用した。今回の人工クレーター作成について同社では「はやぶさ2の打ち上げから約4年になるが、インパクター運用の瞬間を期待と不安の入り交じる複雑な気持ちで迎えた。今回の成功はJAXAをはじめとする関連企業の技術力のすばらしさを改めて実感するとともに、当社がこの一大プロジェクトに関われたことをたいへん光栄に思う」としている。

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