新構造成立のカギは「接合技術」、ISMAが成果報告会

19/01/29

国内製造業の基幹産業である自動車分野において、重要課題である車体軽量化。政府は2050年までに温室効果ガス80%の削減を目標に掲げ、自動車メーカーは抜本的な車体構造の変化が迫られる。溶接・接合技術が占める役割は高い。新構造材料技術研究組合(ISMA)は1月21日、都内で「革新的新構造材料等研究開発」成果報告会を開き、自動車メーカーや素材企業が異種材料接合の開発状況を示した。

ISMAの岸輝雄理事長は「自動車業界の流れは想像以上に早い。ただしどのようなエンジンとなり、自動運転になろうとも、車体軽量化技術の重要性は変わることが無い」と示した。
 さらにプロジェクトの素材開発は目標に達しつつあるとし、「今後は高張力鋼を中心とした鉄鋼材料と、アルミニウムやマグネシウム、CFRP(繊維強化プラスチック)などを接合して使い込むマルチマテリアルの研究を進める」とした。またプロジェクトのなかで「モデル車体を製作することも検討したい」と方向性を示した。
 マツダは、摩擦攪拌接合(FSW)技術を応用した、アルミ―樹脂接合と、既存のスポット溶接設備を使ったアルミ―鋼板の異種材料接合技術を報告した。
 アルミ―CFRPの接合は、FSWツールの回転による摩擦熱で、樹脂を金属側に溶着させる。接合部の評価では、アルミ同士の引張せん断荷重を超える強度を示した。またアルミニウム表面処理を行うことで、密着強度を増し耐久性が向上する可能性を示した。
 今後の適用検討では、今後は強度が求められる骨格部材は高強度鋼板が主体としながらも、「面剛性が必要なパネル部材などは、アルミやCFRPの適用が進む」とした。
 大阪大学接合科学研究所は、これまで適用が難しかった、中高炭素鋼同士の線形摩擦接合技術(LFW)を報告。材料同士を押し付け、線形運動により接合する固相接合法の研究成果を示した。
 報告では組織変化がない薄板鋼板の接合に成功し、引張試験では母材側で破断するため、「マルチマテリアルの接合に展開できる」とし、今後自動車メーカーへの技術提供を図っていくとした。
 報告会の特別講演では、本田技術研究所四輪R&Dセンターの上野宏明主任研究員が世界の自動車メーカーの潮流として、「アルミボディにスチールを組み合わせ衝突性能を高めている。アルミの採用比率が高価格の高級車から、徐々に中級クラスにまで広がっている」と示した。
 物質・材料研究機構統合型材料開発・情報基盤部門の出村雅彦副部門長は、計算科学と材料科学を融合するマテリアルインテグレーション(MI)の重要性を示し「素材産業はあらゆる産業の基盤であり、日本は世界で極めて高い水準の開発力を持っている。MIを用いることで、材料の開発期間を5割に短縮することが可能」と述べた。
 「革新的新構造材料等研究開発」は、2013年から22年までの10年間に及ぶプロジェクト。自動車、航空機、鉄道車両など輸送機器の抜本的な軽量化をテーマとする。
 事業費は年間約35億円。主要な自動車、鉄鋼・素材企業、研究機関が参画。軽量化素材の開発と接合技術を主要なテーマとする。プロジェクトは第3期に入り、今後の4年間で成果の達成が求められる。

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