産総研、金属3Dプリンターで人工歯を実用化

18/08/20

次世代のものづくり技術として注目を集める金属用3Dプリンターの実用化が身近なところでもみられるようになってきた。産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、アイディエス(荒木政幸社長)と共同で、3Dプリンター用コバルトクロム合金粉末の薬事承認を取得し、患者に最適な人工歯を用いた歯科治療を可能にしたと発表。同技術の適用により破損しにくく、患者に最適な人工歯(入れ歯)の短時間製造が可能になる。3Dプリンターは、加工時間が遅く量産品の製造に適さないなどの理由から、試作品や砂型などで適用がみられるが、製品そのものに対する適用はまだ事例が少ない。今回の実用化がさらなる普及のきっかけになることが期待される。
 人工歯の作製に用いる歯科材料は、医薬品医療機器等法に基づき、通常は第三者認証機関により認証されるが、積層造形した人工歯(補綴修復物)は製造方法が新技術となるため、認証品目としては取り扱えない。このため厚生労働大臣による認可となり、医薬品医療機器総合機構による審査が必要となるため、歯科材料製造販売業者などは薬事製造販売承認申請に消極的な面がみられた。
 これらの状況を改善するため、革新的な技術を導入した歯科補綴物開発の促進を目指して、産総研が事務局となり、厚生労働省、経済産業省、日本医療研究開発機構の合同事業である医療機器開発ガイドライン策定事業により、「三次元積層造形技術を用いた歯科補綴装置の開発ガイドライン (手引き)」の案を作成。
 産総研は同ガイドラインを参考に、歯科材料製造販売業者のアイディエスと共同で、三次元積層造形技術を活用した「歯科デジタルものづくり」の早期実現に向けて3Dプリンターによる人工歯の実用化に着手。臨床使用には、歯科材料の医療機器としての承認が必要となるため、積層造形用コバルトクロム合金粉末の薬事製造販売承認申請はアイディエスが担当し、産総研は、積層造形材のミクロ組織や耐久性などの力学的安全性評価を実施。これにより3次元積層造形用コバルトクロム合金粉末が今年4月27日、厚生労働大臣から国内で初めてクラス?の医療機器として製造販売承認(承認番号23000BZX00121000)を得た。
 産総研では「今回開発した技術は、デジタル歯科技術の発展に貢献し、IoT技術と連携することで、遠隔地域でも利用できるようになると期待される。今後は新たな材料であるコバルトクロム合金の国産粉末での認可を目指し、敏感なアレルギー患者への配慮のため、チタン材料での人工歯の開発を目指す」とし、今後の展開に意欲をみせる。

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