高校生が裏波溶接に挑戦

18/08/06

◇関東甲信越Cに向け各地で研修会◇
 日本溶接協会の11指定機関で構成する東部地区溶接協会連絡会は毎年、関東甲信越高校生溶接コンクールを開催しているが、来年4月に神鋼溶接サービス研修センター(神奈川県藤沢市)で開催する第10回大会から新課題「溶接技能者評価試験N―2F(被覆アーク溶接、中板裏当て金なし)」を採用する。これに合わせて東部地区の各指定機関では、新課題をテーマにした研修会を企画・開催。裏波棒(低水素系溶接棒)の運棒や裏波の形成など、難易度の増した課題攻略に注目が集まる。
■神奈川で研修会
神奈川県溶接協会(志賀啓介会長)、神奈川県高等学校教科研究会工業部会機械専門部は7月31日―8月3日までの4日間、川崎市川崎区の日本溶接技術センターで県内の工業高校生徒と教職員を対象とした2018年度夏季研修会を開催し、県内9校から36人が参加した。共催は日本溶接技術センター。開講式で志賀会長が「研修会は今回で10回目の開催。始めた当初は参加者の技量に差があったが徐々にレベルアップし、コンクールでは差もつかなくなっている。今年の神奈川県大会から競技課題を裏当て金なしに変更する。研修会で新課題のかんどころをつかんでほしい」と挨拶した。続いて川崎工科高校の宍戸健一校長は「溶接に限らず、ものづくりに熱心な方々が集まってくれ、とても喜ばしい。ものづくりマイスターをはじめ、熟練した指導者に教えてもらえる貴重な機会」と呼びかけた。4日間の講習のうち、最初の3日間で溶接実技、最終日は非破壊試験実習を実施。同センターの阿南睦章事務部門長は「他地区の練習会でも、エックス線試験を行うのは非常にまれ。一生に一度の経験になるかも知れない。技能向上につなげてほしい」と述べた。
■千葉では教員研修会
 千葉県高等学校工業教育研究会(会長=西澤康男千葉工業高校校長)は7月27日、千葉県君津市のサンキュウリサーチアンドクリエイト東日本能力開発センターに県内工業高校4校12人の教員を集めてアーク溶接技術講習会(千葉県溶接協会後援)を開催。来年度から変更となる関東甲信越高校生溶接コンクールの新課題(溶接技能者評価試験N?2F)に挑戦した。
 この講習会は同研究会が、機械系工業科教員の指導力向上を目指し、研究機会の充実を図ることを目的に開催しているもの。2011年に開催した後、14年からは毎年開催し、今回で6回目となる。「溶接は初めて」という教員もみられることから安全衛生など座学による基礎教育、ビードオンプレート、A?2F(裏当て金あり)による実技を体験した後で関東甲信越高校生溶接コンクールの新課題であるN?2F(裏当て金なし)の練習に移った。N?2Fは、被覆アーク溶接(手溶接)による中板(板厚9?)、裏当て金なしの下向突合せ継手の溶接。今年度までのA?2Fとの違いは、裏当て金の有無となるが、裏当て金がなくなることで新たに裏波の状態が審査項目に加わるほか、初層に低水素系溶接棒の適用が必要になる。
 低水素系溶接棒は、機械的特性が高いため板厚が厚いものや割れやすいものに使われるほか、競技会によっては初層だけでなく、2層目以降に適用する選手もいる。ただ、芯線と被覆剤の融点が異なり、イルミナイト系溶接棒と比較してアーク切れが発生しやすいなど、取り扱いには慣れが必要になる。当日の実習をみると、イルミナイト系溶接棒から低水素系溶接棒に切り替えた教員全てが、アークスタートから苦戦。低水素系溶接棒は、被覆剤が脆いためアークの再スタートにもコツが必要になるが、アーク切れと再スタートを繰り返す教員の姿が会場のあちこちで見られた。
 今年度関東甲信越高校生溶接コンクール優勝校、東総工業高校の林功教諭は「裏波以前に低水素系溶接棒の溶接が難しい。初心に返る気持ちで特訓が必要」と気持ちを新たにした。
 また、溶接が初めてという千葉工業高校の齋藤直正実習助手は「学校では旋盤などの機械関係を中心に指導にあたっているが、これまで溶接を学ぶ機会がなかったので参加した。初めての溶接でまだ上手くできないが、この講習で感覚を掴みたい」と今後の成果に期待を寄せた。
 なお、同講習会は、同日のほか、8月7日、10日の合計3日間行われる。

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