サポイン事業、溶接関連11件採択

18/07/10

◇中小の溶接研究意欲旺盛に◇
 溶接関連中小企業の技術開発意欲が旺盛だ。人手不足や原材料費の高騰など懸案要因が残る中、付加価値を獲得しての競争力強化を目指す中小企業にとって、新規設備の導入や研究機関と連携しての技術開発は成長のカギとなる。中小企業庁は6月29日、2018年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポートインダストリー:サポイン)126件の採択結果を発表。溶接関連で11件が採択された。
 溶接関連で、ノチダ(大阪府八尾市)、木ノ本伸線(大阪府東大阪市)の中小企業2社と大阪科学技術センターは「輸送機器の軽量化に資する高強度新難燃性マグネシウム合金溶加材を用いたAI制御溶接技術による高速鉄道車両用腰掛フレームの開発」が採択された。
 輸送機器の高速化と車両の軽量化が求められる中、高速鉄道車両用の腰掛フレームを対象に、現在使われるアルミニウム合金の代替として、難燃性マグネシウム合金を溶接材料と母材に用い、入熱制御をした溶接技術とAI技術を開発し、軽量化と疲労強度、耐衝撃力を備えた腰掛フレームの実用化を図っていく。
 レーザ溶接関連では、ワールド山内(北海道北広島市)と北海道科学技術総合振興センターによる「ステンレス鋼のファイバーレーザ溶接ロボットによる低ひずみ・高強度技術の研究開発」が採択された。需要が伸びるステンレス鋼の溶接法として、注目されるファイバーレーザロボット溶接システムに関し、IoT生産管理システムに当該システムを組み込んだ上で、従来技術では製造困難な製品を試作し、高精度かつ省力化を実現する手法の開発を目指す。さらに製造現場で活用可能な自動溶接条件マップを作成し、中小企業の生産性向上を図る。
 溶接関連の採択事業ではこの他、大阪富士工業(兵庫県尼崎市)と大阪科学技術センターによる、レーザクラッディングで耐熱ベアリングの必要箇所に表面加工を行う研究「非モルテンプール型レーザクラッディングによる超耐熱玉軸受(ボールベアリング)の開発」が採択。高温環境で使用され耐熱性が求められる回転部材の玉軸受に、レーザクラッディング法で表面加工を行い、低コストで信頼性の高い耐熱ベアリングを製造するもの。
 丸嘉工業(岐阜県各務原市)と岐阜県産業経済振興センターは、「温間温度制御による結晶粒微細化技術を用いた高強度・高靱性な薄肉中空品の量産技術開発」が採択。溶接性と高靱性を兼ね備えた自動車用薄肉中空製品の量産技術を開発し、製造工程の省エネ化と低コスト化を実現する。
 山科精器(滋賀県栗東市)と大阪大学による「切離機能を有する世界初の内視鏡用軟性バイポーラ凝固鉗子の研究開発」は、溶接や圧着、精密加工などの製造技術と、導電・絶縁設計などにより、内視鏡切離手術用鉗子を開発し、実用化を目指す。
 ヤマナカゴーキン(本社・大阪府東大阪市、工場・千葉県佐倉市)と千葉県産業振興センターは「FCV向け極薄3D造形部品の溶射鍛造成形用金型の開発」が採択された。溶射加工を用いて、複雑形状化、軟加工材化する燃料電池用スタック用セパレータ部材の開発において、超硬合金の耐割れ特性のデータベース化、表面加工における超硬合金への耐割れ製改善と金型寿命判定データの構築などを行い、市場ニーズに対応した金型を開発する。
 エアロエッジ(栃木県足利市)と栃木県産業振興センターは「TiAl合金を主とする次世代素材を使用した部品(ジェットエンジン部品など)の加工技術向上に関する研究開発」が採択。高温強度は高いものの加工が難しかったチタンアルミ材料に対し、金属積層技術によって新たな製造工程を確立し、加工技術の向上を目的とする。この他、金属積層、溶射、微細接合分野などから4件の事業が採択された。

 サポイン事業は、中小ものづくり高度化法に基づく特定ものづくり基盤技術高度化指針に沿って策定され、溶接を含む「接合・実装」「精密加工」「立体造形」「表面処理」など12分野の研究開発とその試作の取組を支援することを目的とする。中小企業や小規模事業者が大学や公設試験場などの研究機関と連携する、製品化につながる可能性の高い研究開発や試作品開発、販路開拓までの取り組みを一貫して支援するもの。
 補助事業期間を2年度または3年度とし、補助金額の上限額は初年度4500万円以下。補助率は大学・公設試等の補助対象経費は、定額(1500万円以下)、上記以外の補助対象経費は2/3以内とし、2年度目以降決定額の2/3以内、3年度目は半額以内と減額する。

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