三井造船玉野事業所で17年ぶり護衛艦建造

12/09/05

 防衛省の新護衛艦「ふゆづき」の命名・進水式が8月22日、玉野市の三井造船玉野事業所で行われた。河野克俊海上幕僚長が艦名を読み上げ支綱を切ると、精悍で美しいフォルムを持つ5000トンの船体は船台からゆっくり青海へと滑り出した。関係者ら約3000人が見守る中、「ふゆづき」はその雄姿を海上に浮かべた。三井造船玉野事業所での護衛艦建造は17年ぶりとなり、建造費は総額726億円にのぼる。
 ふゆづきは船型が一般的なバルクキャリア船(BC)より一回り小さいコンパクト設計。しかし、速力はBC14・5ノットの約2倍のスピードを有する。有事に際しても高速・機敏に対応できるよう、最新の設計・機能を装備されているのが特徴だ。
 三井造船玉野事業所における護衛艦建造は53年に始まり、以来半世紀で30隻の護衛艦を建造、独自の製造ノウハウと豊富な経験と実績を構築してきた。ふゆづきにも同社が長年培った高度なものづくり技術が結集されており、船体構造全体が精かんかつバランスのよい美しいフォルムを形成。特に外板接合では内面合わせという手法を駆使することで溶接ビードの乱れや弛みが全くない美麗な外観を実現している。
 総組立の溶接を担当した同事業所・大山茂チーフエキスパートは、「進水までの全体の工期は約2年半で、このうち陸上で各ブロックを製作した後、ドック内では約1年間を要して各ブロック同士をつなげる総組立作業を行ってきた」と語る。また、「外板の板厚はほとんどが14ミリ程度で、一部ハイテン材料も使用し高い溶接技量が求められた。溶接は船舶建造において最重要工程の一つであり、作業者各自が細心の注意と自らが持つ技能、技術を駆使して作りこんだ」という。
 「我々造船関係者が”ハナ”と呼んでいる護衛艦の顔である船首部上下に伸びる直線ラインを形成するには、高度な技術が必要。ここが溶接作業者の腕のみせどころで、ふゆづきは美麗に鼻筋が通ったクレオパトラのようであり、私の40年間の溶接工としての歴史、経験の中でも自信作の一つに数えられる」と満足そうに語る。

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