工場探訪ルポ

池田機工

専用システムで溶接工程を平準化
高品質化、コストダウンに貢献

 池田機工(本社・長岡市)は1982(昭和57)年3月、建築金物関係のプレス業務を主目的に創業。92年に法人化した後、2000年に精密板金加工業務を開始するとともに、現体制を整えた。その後6年が経過した今、同社の業態は一変し、板金加工がほぼ100%を占めるに至っている。
 工場は量産に対応した本社工場、主に大型機の製造を受け持つ第2工場、金型加工を行う中之島工場の3ヵ所を所有。ATMの筐体、メダルゲーム機、半導体関連装置などを製作し、売上比率はそれぞれほぼ30%ずつとバランスの良い構成となっている。
 加工機関係の設備は各種アーク溶接機のほか、ハンドタイプYAGレーザ溶接機、セル・パイプインデックス付レーザ切断機(発振出力4キロワット)、レーザ・パンチ複合機など、全部で80台以上を有している。

池田一雄氏

 顧客層は東京、埼玉、神奈川など首都圏および関西で70%近くを占め、地元・新潟県内の顧客は30%前後と意外に少ない。取材に応じてくれた同社の池田一雄氏によると「板金加工を始めた当初は、地元の同業者に大変お世話になったため、バッティングを避ける意味で他県への営業を積極的に展開した」とのことだった。
 同社が製品を作り上げていく上で、欠かすことのできない工程がスポット溶接工程。同社では本社工場に2台の定置式スポット溶接機(アマダ製ID40IIーST)を設置し、あらゆる製品に適用している。

スポット溶接は重要な工程


 そのスポット溶接工程において大きな武器となっているのが、今から約2年前にアマダと共同開発した「スポット溶接機平準化データ蓄積機能システム」だ。
 同システムは加工履歴とデータベースの活用により、いつでも、どんな時でも同じ品質を確保できる点が最大の特徴で、品質のバラつき防止のほか、作業の効率化にも大きく貢献しているという。
 基本的な操作は、材質、板厚、電極先端径、電極先端形状、電極オフセット量など加工条件を入力するだけ。そうすることで過去のデータから加工箇所・順番が呼び出され、作業者はタッチパネルをなぞるだけの簡単操作で作業を行うことができる。また、USBカメラを標準装備しているので、加工したワークを画像データとして保存することも可能だ。
 こうした簡便な操作以外に、作業中の品質管理、すなわち不良率の大幅な低減に寄与している点も同システムの魅力の一つ。これは加工ごとに溶接電流・電圧や加圧時間の測定が行えるためで、例えば分流が起こったり、異物を噛んだりした時には、グラフとエラー音で作業者に異常を知らせることができる。これにより「システムを導入してからこれまで、クレームは1件も発生していない」(池田氏)
 さらに大きなメリットをもたらしているのが、省エネやリードタイムの短縮などによるコストダウンだという。池田氏によると、「例えばステンレスの部品については、過剰品質にしてスポット焼けを強く出すことは極力避けたい。そこで不良品にならないレベルの下限電流値や通電時間を設定しておけば、品質を確保しながらもより焼けの少ない加工を行うことができる」。つまり、同システムを活用することで、消費電力量の削減やリードタイムの短縮など、品質面の向上だけではなく、さらなるコストダウンにも結び付いているというわけだ。

専用システムで工程を平準化


 さらに池田氏は同システムの効果として「作業者にとっては、例え最低限の条件であっても、画面の指示通りに作業すれば品質が確保されるという安心感があるため、余計なプレッシャーからも解放される」という心理的メリットも強調していた。
 最後に今後の板金業界の展望を池田氏に聞くと、「同じ機械を持っている業者はたくさんある。その中でお客様から選択してもらうためには、いかに管理能力、コスト対応力に優れているかがポイントになる。そのためには加工時間だけでなく、前後工程の見直しを常に考えていくことが必要」との見解を語ってくれた。

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