工場探訪ルポ

■カツデンアーキテック(埼玉県)

○レーザ加工機3台稼働
○最新鋭ブレーキプレスも近々導入

各種アルミ製手すりや面格子、業界初のノックダウン式スチール製シースルー階段などを製造・販売するカツデンアーキテック(本社・東京都中央区八丁堀3―12―8、坂田清茂社長)団地工場を訪問。常に市場に新しい風を吹き込む同社のものづくり現場を取材した。

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坂田清茂社長

        ◇
 1958(昭和33)年、瑞江製作所(現カツデン)としてテレビアンテナの製造・販売からスタートした同社は、その後、家電製品の卸売り業に進出する一方、アンテナ製造技術を生かしアルミ製建材メーカーとしてのポジションを確立。「とにかく新しいことに挑戦するのが好きな会社で、日本で初めて室内用アルミ製らせん階段も商品化した」(坂田社長)同社は03年、建材事業の充実を図るため、建材部門を分離独立させ、「カツデンアーキテック」を設立。大手ハウスメーカーのOEMを中心とする住建NP事業部、自社ブランドの手すりなどを手掛けるビル建事業部、独創的な住居用室内階段を製造する階段事業部を柱に事業を展開。東京・八丁堀の本社をはじめ、大阪、名古屋の営業所と埼玉県児玉郡美里町に「木部」「団地」「第三」の3工場を有している。
 今回訪問した団地工場は階段事業の中核工場で、約5000平方メートルの敷地に延床総面積約3100平方メートルの工場棟が立地する。06年6月には約500坪弱の工場棟を新たに増設した。親会社から独立した03年夏に発売したスチール製室内階段「オブジェア」が高い評価を得、この5年間で約10倍の事業に成長、今後も拡大成長が期待される。

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団地工場(埼玉県児玉郡美里町)

 「切る」「曲げる」「つなぐ(溶接・組立)」という板金作業を一貫して行う同工場はレーザ加工機3台をはじめ、4ミリタレットパンチプレス(TPP)や4ミリベンダー、最新鋭デジタル溶接機などを設備し、3次元CAD/CAMデータのもと、効率的な作業が進められている。昨年7月には塗装ラインも完成し、設計から部材製造、組立、仕上げまでの一貫生産態勢を確立、月産120台ペースで室内用階段を生産している。
 そもそもアルミ製品を中心に製造してきた同社がスチール製室内階段を手掛けるようになったのには理由がある。
 今から14年前、TPPやシャーリング、V字カットマシンなどの板金設備一式を導入した同社は、01年にリース期間が満了。月80万円近いリース料が浮いた。通常なら月額負担が軽減され経営面でも楽になるのだが、坂田社長は「浮いたリース料を新たな設備に投資し、常に危機感をもって経営にあたる」との考えで、2キロワットレーザ加工機と4ミリNCベンダーを導入した。
 しかも「別段、何を作ろうとか、何のために使うという明確な目的があったわけではなかった」(坂田社長)そうで、事実、導入後もしばらくの間、それら機械は本格稼働していなかった。しかし、たまたま工場視察に訪れたプレハブ住宅メーカー担当者の「これだけ充実した設備があるなら、階段が作れますね」とのひと言がきっかけとなり、階段製造分野に本格参入した。
 建材メーカーとしてアルミ製のベランダ手すりや屋外らせん階段を作った経験と実績をもつ同社だが、階段事業参入に際してアルミ製ではなく、スチール製にこだわった。それはスチールがアルミの3倍の強度を有し、より薄く、より細く加工できるデザイン面でのメリットと可能性を見出したからだ。
 同社では?現場で組み立てるだけで設置ができるノックダウン方式?通風や採光をできるだけ妨げないシースルー構造?エレメントを減らし、細部の仕上げにこだわった美しいフォルム――を開発コンセプトに、室内用シースルー階段「オブジェア」を商品化。ただ当初は経験不足からくる溶接不良が多発し、製造現場でも混乱を極めた。試行錯誤を繰り返しながらも、一つひとつの問題点をクリアしていくことで、この分野でのトップシェアを確固たるものとした。
 工場内を紹介すると、まず屋外に資材置き場があり、ここには様々なサイズ、板厚の鋼板がストックされている。ちなみに同工場で使用される鋼板は板厚2、3〜12ミリが中心。この資材置き場を起点に、工場内は切断、曲げ、溶接・組立の各工程順に作業エリアを配し、鋼板や製作部材が直線上に流れるよう工夫している。
 川上工程にある切断エリアでは、前述した2キロレーザ加工機のほか、三菱電機製の3・6キロレーザ加工機2台、合計3台の加工機を配備。中でも3・6キロの2号機は10段式パレットチェンジャーを装備し、高速かつ安定した連続加工が可能。また同じく3・6キロの3号機には定盤上にパイプインデックスを装備し、平板加工のみならず、各種パイプの加工も行える多機能性を有している。

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パイプ加工も可能なレーザ加工機

 「需要の拡大に伴い、1台のレーザ加工機では対応しきれなくなったことに加え、常に新しい技術を採り入れた生産設備が必要」との判断から相次いでレーザ加工機を導入し、生産性を高めた。今年5月にはレーザ切断機用集塵機(メルダスシステムエンジニアリング製)も導入、作業環境改善にも注力している。

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新たに導入したレーザ加工機用集塵機

 また曲げ加工エリアでは現在、4ミリNCベンダーや2ミリNCベンダーが主力設備だが、今月末には伊・SOMO社製ブレーキプレスも導入する。同社ではこれまで、図面データをベースにレーザ加工機とTPPの作業データを作成、一元管理するキャドマック製CAD/CAMシステムを導入し社内LANによるネットワーク化で作業の高効率、高品質化を図ってきた。
 今回、新型ブレーキプレス導入に伴い、曲げ加工のシミュレーション機能を加味したソフトも導入し、一層の効率化を進める。「これまで職人の領域であった曲げ加工を、切断・穴あけ加工データとの共有化を図ることで、3次元画像によるシミュレーションやマニュアル化が容易となり、曲げミス低減やスムーズな段取り替えが行えるようになる」と言い、板金加工において「如何に高効率で、歩留まりの良いものづくりを進めるか、がポイントだ」と指摘する。
 溶接・組立工程では13の溶接ステージを設け、ここではワイヤ送給装置や各種ケーブル類を床置きせず、作業者の頭上にくるようにし、作業効率向上に努めている。また溶接機器も品質の安定化とデータの蓄積、共有化を図るため、デジタルCO2/MAG溶接機を積極的に導入。溶接作業も面からも高効率、高品質化を目指している。
 とくに溶接個所は強度、安全性が求められるとともに、製品全体のデザインにも直結する。「細部にわたる施工技術、綺麗な仕上がりが当社の強み」と坂田社長は言う。
 今年1月同社は、ISO9001と同14001認証を同時取得し、新たなものづくり態勢を確立した。また天然木を使用した「エコ・ブックエンド」や「スタッキングトレー」、らせん階段のセンターポール端材を利用した「マルチ革トレー」などを、ステーショナリーグッズを中心に製品開発にも余念がない。坂田社長は「素材にこだわり、デザイン性にこだわり、持つことで心が豊かになる製品を作っていきたい。これからも建材を使って、夢のあるものを商品化したい」と、ものづくりへのこだわりと夢を言葉にする。


出典:溶接ニュース
2008年6月17日第2767号

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