工場探訪ルポ

■三井造船 千葉事業所

【現場ルポ】
三井造船千葉事業所
鋼材水切りからドックまで工程順に直線ラインの工場レイアウト

レーザ、プラズマの導入により充実した切断工程を構築


 建造ラッシュに沸く造船業界にあって、いかに生産性向上を図るかが最重要テーマとなっている。大型船舶を手がける三井造船千葉事業所もまた近年、積極的な設備投資を展開し、生産性増強に注力している。
 同事業所は、日本で最初に大型船舶の建造に対応するために計画された事業所で、1962年5月に操業を開始。近代的造船所の先駆けとして、技術、設備面をはじめ、先進的な建造方法の採用など、常に技術革新を重ねるとともに、設計と生産の情報統合化システム(MACISS)などの導入により、高品質・高効率化を推進してきた。
 現在、40万tを超える超大型タンカーをはじめ、3万〜10数万t規模のバラ積運搬船やコンテナ船、プロダクトキャリア、さらには液化天然ガス(LNG)運搬船など、様々な船種のプロダクトミックスにより、年間14〜15隻のペースで新造船を建造している。月間の鋼材使用量が1万?にも達することからも、そのスケールの大きさを改めて知ることができる。
 同事業所の最大の特徴は、敷地を有効に活用した理想的な工場レイアウトと、常に最新の工作技術を取り入れた近代的設備にある。大型構造物の集合体である造船にあって、鋼材水切りヤードからドックまで、一直線に配置した独創的な工場レイアウトが、多種多様なプロダクトミックスの建造を支えているのだ。
 同事業所では東京湾に面した工場敷地内の北東側に鋼材水切りヤードを設け、そこを起点として一連の作業順にショットブラスト工場→NC切断工場→小組立工場(部品組立)→大組立工場(ブロック組立)→そして最後に工場敷地内の南西側にある建造ドックへとワークが一直線に流れるようにレイアウトしている。
 建造ドックは3本あり、1号ドックはもともと修繕を担当していたが、05年より新造船建造を再開し、最大15万総t規模までのアフラータンカーなどを主体としている。
 また、幅72×長さ400×深さ12mの2号ドックは、昨年導入した1000t吊りゴライアスクレーン1基をはじめ、300t門型クレーンを2基、合計3基の門型クレーンを配備した50万総t規模までの超大型船にも対応できるメーンドックで、基本的には1隻半分(船体1隻分と船尾部分)を同時に建造することができるタンデム方式を採用している。このほか3号ドックは現在、修繕対応ドックとなっている。
 内業作業おける最上流工程である切断工場の充実ぶりにも目を見張るものがある。
 平板切断ステージでは6kW発振器搭載型レーザ切断機(写真下)3台をはじめ、2トーチ式の500Aプラズマ切断機2台、1トーチ式500Aプラズマ切断機、同250Aプラズマ切断機をそれぞれ1台ずつ設備。また型鋼切断ステージでは250Aプラズマ切断機2台、500Aプラズマ切断機1台とマーキング・印字専用機で、完全自動化切断ラインを構成。多トーチガスプレーナーはもはや存在しない。
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 同社生産計画部・大西俊武氏(写真)によると「当事業所は造船におけるNC化発祥の地と言え、1970年頃からNC制御によるガス切断を開始し、6年後にはNCプラズマ切断機を業界に先駆けて導入した」。
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 現在、主力機となっている6kW発振器搭載型レーザ切断機1号機も今から8年前に導入。造船業界でこのクラスのレーザ切断機導入が最も早かったそうだ。ちなみに同事業所では、板厚20ミリ以下のサブ材の加工をレーザ切断で、それ以上のサブ材や外板の加工をプラズマ切断という使い分けをしているそうで、全ての切断機には印字装置を搭載し、作業者によるヒューマンエラーの防止に努めるとともに、プラズマ切断のみならず、レーザ切断機にも専用集塵機を装備し、メンテナンスの削減や付帯部品の長寿命化を図るこだわりを見せる。
 また同社では今年8月、500Aクラスの1トーチ式と2トーチ式プラズマ切断機(写真下)をそれぞれ設備更新し、さらに効率化を図っている。このように最新設備を導入した切断工場では、一元管理の共通データのもと、システマティックに切断作業が進められるとともに、コンベア搬送により加工された鋼材は次工程に流されていく。
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 大西氏は「上流工程の高効率化と品質の安定が次工程に及ぼす影響は大きく重要な工程である。加工精度と効率、さらには作業環境を考慮するとレーザ化を進める必要があるのではないか」とも言い、切断工程の重要さを唱える。なお開先加工については、専用機のエッジプレーナーがあり、「次工程の要望に応じ、Y開先やV開先、さらにはU開先など、あらゆる開先形状に対応している」(大西氏)そうだ。
 次工程の板継ぎ作業では、まずサブマージ溶接により、複数枚の鋼板をつなぎ合わせ、20m四方の大板を作成した後、ロンジ材を配するロンジ後付け方法を採用。板継溶接では、3電極サブマージ溶接装置4台、2電極溶接装置1台の合計5台のサブマージ溶接装置を活用している。また、ロンジ材およびトランスのすみ肉溶接では、簡易小形走行台車を活用した10電極および8電極ラインウエルダー(写真下)により施工する。
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 平行部および船首・船尾の各ブロック等を出来得る限り、天候に左右されない工場内で作成した後、各ブロックは建造ドックに移される。
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 同事業所では、「今後、新ルール塗装基準(PSPC)への対応と品質向上に向けたブラスト・塗装関係の強化・充実が重要テーマだ」としている。

出典:溶接ニュース
2007年9月18日第2731号


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