工場探訪ルポ

■藤精機(山梨県)

◆ユーザールポ

日本ウエルディング
ハンドワーク対応型YAGレーザ溶接・切断機
「ウエルペンレーザ」

藤精機(山梨県)

ステンレス加工が増加/「必要に迫られて」導入

歪み抑え、納期短縮/溶接で差別化図る


 プラズマ溶接・切断機、YAGレーザ溶接・切断機の製造、販売を手がける日本ウエルディング(東京都大田区西蒲田3―19―9、電話03―3754―1411)の「ウエルペンレーザ」は、歪みや焼けの少ない溶接が容易に行えるうえ、作業性とともに後工程の簡略化を実現するハンドワーク対応型YAGレーザ溶接・切断機。1993年の発売以来、ユーザーの声を反映した改良を重ね、常に業界をリードするための研究開発を推進している。小紙では「ウエルペンレーザ」のユーザー、藤精機(山梨県中巨摩郡昭和町築地新居1648―7、新藤剛社長)を訪ね、精密板金加工における溶接の留意点や同機導入にともなうメリットをなどについて取材した。(写真は本社)
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 藤精機は昭和町西北部、釜無川(富士川)左岸の旧玉幡飛行場跡地一帯の開拓地に機械金属関連企業の一大集積地として造成された釜無工業団地内に立地。1968年の創業以来、顧客ニーズに対応し高品質を追及するものづくりの姿勢を貫き、現在では精密板金加工をはじめプレス加工、プレス金型製作、マシニング加工、組立などを展開する。
取材に応じていただいたのは、生産部の横田秀雄部長(右)とウェルディング課の鈴木俊之係長。
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 「精密板金加工は1個、2個から数百点までお客様の要求はさまざま。主な製品はIT関係の筐体や電源ボックスなどで、実際のところ少量多品種に追われている。当社は組立も行っており、製品は数センチ大の部品から側板をパイプで組み上げ高さが2000?を超えるものまで多岐に及ぶ」(横田氏)
最近の特徴的な動向としてステンレスの加工が増加傾向にあるという。
 「ステンレスが3割程度占めるようになった。材料が高くなる傾向にあるが、鉄を後処理するよりステンレスの生地のままで製品化した方が結果的に安く済む」(鈴木氏)
 もう一つ顕著なのがレーザ技術の台頭だ。
 「04年にレーザ・パンチ複合機システム、06年にはレーザ加工機(それぞれトルンプ製)を導入した。切れ味、精度に優れ、加工速度が向上した」と指摘する横田氏がおもむろに手に取ったのは、恐竜の模型。「実際加工したものを見てもらえば分かる」と言うだけあって、レーザ切断・溶接の仕上がりは?お見事?の一言。この恐竜の溶接にも適用されているのが「ウエルペンレーザ」だ。
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 昨年4月、「ウエルペンレーザ」を導入した背景について鈴木氏は「必要に迫られたから」と語る。
 「ステンレスの比率が高くなるなか、従来のティグ溶接だと作業者の技量によって出来上がりにばらつきが生じることに加え、熱による歪み、それ以前に必要以上に母材にストレスがかかるなどの課題があった。そこでいくつかのYAGレーザ溶接機の候補のなかから比較検討した結果、『ウエルペンレーザ』を導入することにした。局部的に溶接できるので仕上げが最小限で済むだけでなく、ワイヤを送給することによって?肉盛溶接?できる点が最終的に決め手となり、導入以降、仕事の幅が広がった」
 横田氏は「ウエルペンレーザ」(写真)導入のメリットについてこう語る。
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 「ティグ溶接は常に歪みが付いてまわる。これは精密板金加工において余計な手間になる。一方、YAGレーザは歪みが少なく仕上がりもきれい。やはり溶接の歪みはいつも頭を悩ませるところだったので、納期短縮にもつながる点で導入後は、従来との違いをあらためて実感した」
 またティグ溶接および歪みとりには熟練した技術が求められるが、鈴木氏は「(YAGレーザは)溶接のなかではかなり簡単と言うか、2―3時間のレクチャーで使えるようになる」点も大きな特徴と指摘する。
 同社でYAGレーザが活躍する環境について横田氏は「前段階での加工精度」を強調する。
 創業以来、?常にお客様の立場に立ち、品質を追求する?、?品質の継続的改善に努める?ことを品質基本方針に掲げ、?次工程はお客様?の考えを基に徹底した品質保証体制を目指し、高品質な製品を作り上げる、スペシャリストによるフルラインを構築。CNC三次元測定器などの積極的な設備投資に加え、CAD/CAMからの一環生産、生産管理・進捗チェックのIT化による社内ネットワークシステムが、加工精度をより確かなものにしている表れといえよう。
 ウェルディング課には8人が在籍している。56人の従業員の構成をみると「大所帯の一つ」になるそうだが、同課では外部から講師を呼ぶなど技術向上に余念がない。
 横田氏は、精密板金加工で溶接は強みになるとしたうえで「付加価値をどこでつけるかと考えたとき、溶接が上手くできれば他社との差別化が図られる。講師を招いて実習まで行うのは、溶接をもっと前面に出したいという意図もある。ウェルディング課では若いうちから溶接に携わってもらうため10代、20代を積極的に採用しており、今後も継続的に教育の場を設けていきたい」と語る。
 鋼材の2?梱包が毎日入荷し、加工量が増加傾向にあるなか、同社では、従業員の多能工化にも注力している。
担当部署をシャッフルし、一ヵ月間集中して異なる職場の技能を修得する取り組みを現在進行中で、ゆくゆくは部門の垣根を取り払い、仕事量が大きくなったところに別の部門から集中的に配置できる青写真を描いているという。
 「当社は海外生産できないものを集めて加工しようという方針を打ち出している。これにより加工する製品の大型化が顕著になっており、今後は少量多品種に加え大型化への対応が求められるだろう」(横田氏)
 同社は今年、「思いやり」をテーマに掲げている。最後に横田氏にそのこころを語っていただいた。
 「自分の担当する前工程、後工程の立場に立ってものをつくっていこうと呼びかけている。より心のこもった、やさしいものづくりに努めたい」

出典:溶接ニュース 2007年4月24日付(第2712号)

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