工場探訪ルポ

■オカモト鐵工(福井市)

【ユーザールポ】
仕口自動反転溶接ロボットシステム

繁忙期に大活躍

省力化、衛生上も効果大

 ロボットをコアとして周辺装置と組み合わせた溶接・切断システムの新商品を次々と世界に向けて送り出す、コマツエンジニアリング産業システム事業部(本社電話044-542-7293)が新たに市場投入した仕口自動反転溶接システム「Auto-Reverse」は、ポジショナーに鉄骨仕口を一度セットすると上面・下面・ウェブ面の全工程が自動で溶接可能なシステムに仕上がっている。小紙は「Auto-Reverse」のユーザー、オカモト鐵工(福井市上森田1-102-2)を訪ね、岡本征雄社長に導入に至った経緯や新システムのメリットなどについて話を聞いた。

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 2006年11月上旬、福井市内のオカモト鐵工を訪問した。岡本社長は「Auto-Reverse」導入の経緯についてこう語る。
 「すでに工場溶接で短管、柱大組はロボット化して成果を挙げていたので、次に仕口・内ダイア溶接のロボットがほしかった。(コマツエンジニアリングの)新製品の仕口ロボットには魅力を感じていたものの、(もともとの仕様では)場所が狭い当社の工場には設置できなかった。そこで改良を重ねた結果、レイアウトに合わせロボットとポジショナー(ラインワークス製)を直列に置く改良型『旋回型』が仕上がった」ことを受け、9月から本格稼動を開始した。

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 実際、岡本社長に案内された工場内では、中央に旋回可能なロボットを挟む形で、ポジショナー2基が直列に配置されたシステムを目の当たりにした。限られた工場スペースを踏まえ、加工品の出し入れなどの最適化を図った岡本社長の苦心のほどがうかがえる。
 同社は柱の製作をメーンに展開しており「月産は少ないときで1,000t、多いときは1,200―1,300t程度で推移している。今年の9月、10月は1,300tレベルのフル生産の状況が続いた。仕口ロボットが完全に動くようになった状態と受注高い山の後半部分がうまい具合に重なり(仕口ロボが)非常に戦力になった」
 岡本社長によると、ちょうどこの時期に受注した物件が「Auto-Reverse」に適した内容だったと振り返る。
 「9-10月に加工した物件はコラム600-650mm×22-32mm、内ダイア板厚も30mm前後と厚みのあるコラムで約40個のほとんどでロボットを使用した。板厚が薄いとひずみへの対応が求められるが、22-32mmの厚いコラムだったのでひずみを余り気にすることなく仕口ロボットを適用でき作業がはかどった」
 2ヵ月間のフル生産に「Auto-Reverse」を適用した感想について、岡本社長は「仕口に関しては問題ない。内ダイアは手で溶接する場合、真上から行うため溶接士はヒュームをまともに受けることになるが、このロボットによってこうした作業環境を回避できたことで、安全衛生上の効果も大きい」と導入のメリットを指摘する。
 同社工場のロボット化は1991年にさかのぼる。最初はコラム短管用の溶接ロボットを2台導入。その後、柱大組立溶接ロボット(2台)を加え、今夏までは4台のロボットが稼動していた。
 「実は短管用の2台も今春、(コマツエンジニアリングのロボットに)更新したばかり。柱大組立ロボットは一昨年、2台のうち1台を2ロボ(2アーク)に改良している。今年9月からの仕口・内ダイアロボットの本格稼動により、工場のロボット化ほぼ完了した感がある」
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 「Auto-Reverse」導入は省力化にも大きく貢献している。
 「当社は内ダイア・仕口の溶接職場に従来、4人-4.5人配置していた。仕口ロボットの導入後は、オペレーター兼務で2人-2.5人と2人削減となった。また仕口の溶接は1人1日平均1.5個-2個だったものが、ロボットは昼2個夜2個の計4個仕上がる」というからその効果の大きさがうかがえる。
 今期は仕口ロボットをはじめ、短管用ロボットの更新、開先加工機、ショットブラスト、年末にはドリルマシンの導入を予定。また来年にかけて、敷地内の倉庫を移動し20mスパン、10tクラスの門型クレーンを追加する計画だ。
 「結局これまで鉄骨(を取り巻く市場環境)が悪かったということ。当社に限らず(工場内の各種設備は)故障のたびに直して無理やり使ってきたのが実態ではないか。それがどうにかここにきて持ち直してきたことで、設備投資に関しても一気に手をつけた方がコストダウンにつながる」との考えから、今期の設備投資は諸々を含めると1億数千万円にのぼる。
 今回の仕口ロボットの新設をはじめとする積極的な投資は、さらなる増産体制への布石ともとれるが、岡本社長は「増産体制というよりコストダウン」と強調する。
 「これまで厳しい時代をくぐりぬけてきた経験を踏まえると、(環境が改善されつつあるとはいえ)安易に増産とはいかない。当社の従業員はピーク時100人を超えたが、その後自然減で現状では80人になったものの、生産能力は維持している」
 岡本社長は積極的なロボット化を図る一方で、克服すべき諸課題の指摘も忘れない。
 「ロボットの性能を十分に発揮するためには仮組み精度が不可欠だ。1991年からロボットを導入している当社の場合は問題ないものの最近他社の応援で手がけた仕口の溶接(20個)では精度が悪く、ロボットを適用できないものがかなりあった。また現在のソフトではウェブの隅肉脚長が14mmまでなので、Hのウェブ厚14mm以上になると対応できない点も問題だ」
 とはいえコストダウン徹底の背景には、「機械でできるものは機械で」という岡本社長の方針が貫かれている。この考えを反映してか、現在では「仮組みを除く本溶接の80%以上がロボットによるものだ」という。

出典:溶接ニュース
2006年11月28日第2692号

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