天地人 (ライブラリ)

三つの美術館

 絵画が好きで美術館にも時折足を運んでいるが、それにしてもこれはたまたまのことだが、このたびは3週続けて週末ごとに美術館を訪ねた▼初めが那珂川町馬頭広重美術館。栃木県の東部県境、山深いところにあり、隈研吾の設計になり、地元産の杉を使用した平屋の長屋づくりの建物が素晴らしかった。歌川広重など浮世絵のコレクションが充実していて、地元出身実業家の寄贈によるものだという▼次が千葉県野田市の茂木本家美術館。キッコーマン創業家の設立によるもので、写楽の「坂田半五郎」など大首絵のコレクションが素晴らしかった。ここのユニークなことは参観がすべて予約制になっていることで、学芸員が一緒に回って解説してくれた▼続いては東京・新宿の佐藤美術館で、折から開催中の山本冬彦コレクション展が目的。これは大変珍しく一介のサラリーマンにすぎない個人が蒐集してきた現代日本絵画のコレクション。小遣い程度で30年の間にこつこつと1300点も集めたというのだから驚く▼計ったわけではないものの町立、個人、貸しホールと形態の異なる美術館を見ることとなったが、コレクションやサービスということでは都心の人気美術館には及ばないものの、それぞれに個性的なコンセプトによる美術館だったし、ゆったり見られる運営もよかった。

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