天地人 (ライブラリ)

阪神・淡路大震災から15年

 阪神・淡路大震災からちょうど15年。この時期ある種の感慨があって当時を振り返っていた▼発生直後ではなかったが自分も数日をおかず現地に入っていた。鉄道も道路も寸断されていたから現地へは大阪の天保山から船で神戸のポートアイランドへ渡った。街に入ると、ビルが倒れ家屋が崩れ焼け跡がくすぶっていて焦土となっていた。被災者は憔悴の様子で、取材とはいえカメラを向けるのがためらわれた▼鉄道の高架が崩れ高速道路の橋桁が落ちビルも至る所で倒れていた。とくにRC造に被害が大きく、S造でも大型ビルの中層階や鋼製橋脚に座屈が見られたし、高層アパートでは脆性破壊の事例もあった。後日のことだが、不良施工のものの被害が大きく、耐震設計の見直しと品質確保が社会的命題となった▼それにしても無知とは情けないもので、取材には関西支社の記者も同行していたのだが、両人とも水筒も持たず食料も携帯していなかった。大都会だからと当たり前の思いも及ばなくて、食堂は開いていなく自動販売機は全滅していた。交通の手段もなく1日中飲まず食わずで歩きづめだった▼関係企業や知人にも被災が少なくなくて痛恨の極みだったが、5月に予定していた国際溶射会議を粛々と断行、神戸で開催される震災後初の国際会議となったのは救いだった。

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