今年読んだ本のうち気になって記録にとどめておきたいと思ったもの3冊▼関川夏央『寝台急行「昭和」行』著者は近代さらに昭和を題材に人気作家。自分とは同じ汽車好き、しかも同年代でもあり「汽車好きは、乗っているだけでたのしいのだ。車窓風景とローカルな乗客たちのたたずまいは飽きがこない」などとあってうなずけた。もっとも本書は鉄道に乗るといいながら過ぎ去りし昭和を探求しているのであって、単なる鉄道紀行本にとどまらず一流の文学紀行となっている。(NHK出版刊)▼高村薫『太陽を曳く馬』『晴子情歌』『新リア王』に続くいわゆる福澤一族3部作の完結編。主人公は僧侶福澤彰之。これに『マークスの山』などいわゆる合田3部作の主人公刑事合田雄一郎がからむ。2つの3部作主人公がぶつかり合って大いに楽しめるが、必ずしもやさしくはない。死とは何かなどとあって、ある意味言葉で現代を表現しきれるのかと挑戦しているようでもある。(新潮社刊)▼1968年ベトナム戦の最中、嘉手納発B‐52空爆情報をいち早く現地に送り、爆撃の被害を最小限化しようと活動したたった4人のスパイ組織の話。沖縄に移住して12年暮らした池澤が初めて書いた沖縄もの長編小説。緊迫感とは別に重いテーマにこの明るさは何だろうか。(新潮社刊)
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)