天地人 (ライブラリ)

美術館博物館事情

 出張などで訪れた都市で美術館や博物館を見るのが好きで、名所などはさておいても時間の許す限り見学するようにしている▼この頃では全国各地にすばらしい美術館や博物館が設置されていて、とくに金沢21世紀美術館や十和田市現代美術館などは印象深い。どちらにも共通するのは、まず街や市民に溶け込んでいること。これには美術館の設計そのものが市民に開放するコンセプトとなっていることにもよるのだろうし、収蔵されている作品も、かつてのように印象派に大枚をはたいたような一点豪華主義とは違って、現代美術を発掘したような内容が楽しい▼もっともこの二つの美術館の例は珍しい方で、たいがいの美術館は財政難で運営にも苦労しているのが実情なようだ。これはハコはつくったが中味のことまでは考慮していなかったというわが国行政の貧困によるところが大きく、運営予算まで考えていなかったという乱暴なはなしもあるらしい▼海外でも美術館や博物館はよく訪れているのだが、それで気がつく彼我の差は、要するに市民へのサービスということだ。外国の美術館ではツアーガイドが充実していたり、作品の写真撮影も許されているのが一般的だし、もちろん収蔵作品の質量の差はもっと大きいわけで、時折の企画展でお茶を濁す日本とはだいぶ違う。

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