天地人 (ライブラリ)

サイエンスもの3冊

 今年読んでおもしろかった本のうちサイエンスもの3冊。江守正多『地球温暖化の予測は「正しいか」?』著者は国立環境研究所勤務の少壮学者。本書は地球温暖化予測の第一人者が著した解説書。とにかく気候といい温暖化といい、単純には割り切れない問題について丁寧に解説している。日本で平均気温が2度上昇すると、夏が1カ月長くなり水不足となり自然災害が増えると展開している(化学同人刊)▼橋本毅彦『描かれた技術 科学のかたち』著者は科学史を専攻する東大教授。29のエピソードを選び、それぞれの図像を眺めながら背後の制作過程までもストーリーとして展開している。興味深かったのは「機械のモデル」で、18世紀初頭、スウェーデンの技術者ポーレムは機械の基本単位を示すモデルを作成し機械のアルファベットとしてまとめたという。こうしたモデル化は、科学技術の発展の中では必須の事柄(東京大学出版会刊)▼三田誠広『原子(アトム)への不思議な旅』物質は何からできているかは我々科学文明の謎。これ以上分割できない物質の最小単位とは何か。本書はこの謎に迫ってきた科学文明の歴史をたどっている。それはアトムとは何かというミステリーの旅でもある。著者は芥川賞作家。知的好奇心の世界に遊べる。(サイエンス・アイ新書)

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