天地人 (ライブラリ)

ナマステジー

 妹島五彦さんが12日亡くなった。1925年岡山県出身で、享年83歳だった。大阪大学溶接工学科卒業後日立製作所に入社、以来一貫して重電の溶接技術に携わられた▼その妹島さんから今年1月『ナマステジー!こんにちは!』なる小冊子をご恵送いただいていた。約50年前、日立のエンジニアとしてインド・ヒラクッド村で従事した水力発電所建設に際し、単身赴任先から留守宅の長子夫人に宛てた手紙がつづられている▼7カ月に及んだ出張先から出された手紙は約40通。30代のことだが、夫人への愛情と幼い2人の子供たちの成長への気遣いが伝わってきて感動した。発信された手紙にはそれに倍する夫人からの返信が届いてたようで、留守宅の様子を知らせる夫人の手紙が何よりの励みとなっていたようだ▼冊子には妹島さんから発信された手紙だけで、夫人からの返信は収録されていない。それを是非読みたいものだと、15日に小金井のカトリック教会で行われた告別式でお会いした際、長子夫人にその旨述べたところほほえんでおられた。あるいは追録していただけるかもしれない▼いただいた冊子には自筆の手紙が添えられていたが、病床にあってなお著作を上梓しようとするその情熱は、生涯を溶接に注いだ愛情とともに瀬島さんの人生を貫いていたことだった。

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