最近読んでおもしろかた本の中から3冊。森まゆみ『女三人のシベリア鉄道』与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子3人の歌人・作家がたどったシベリア鉄道を経てパリへと至る旅を作家である著者がその足跡を追った旅の本書はその紀行文。シベリア鉄道9千キロ、モスクワからパリまでが3千キロのこの旅は、結局、著者自身の半生を語る旅ともなっていてある種悲哀も感じられた▼アンナ・アフマートフ『夕べ』ロシア人女性による詩集。興味深かったのはロシア語の定型短詩という形式でかかれている原詩4行1連を、57577という短歌1首に訳したというそのこと。短歌訳はロシア文学者工藤正廣で、なぜ短歌に訳したのかについて「彼女はとても古典的で平明、わからないような詩句も詩想もない。それを日本語の口語訳でやるとさまにならない」と語っていておもしろい▼フィリップ・フォレスト『さりながら』著者はフランス人。本書は私小説だと紹介してあったが、文芸評論のようでもあるし紀行文のようでもある。俳人小林一茶、小説家夏目漱石、そして写真家山端庸介の3人の人生が語られている。共通しているのは子供の死ということ。それが痛切だ。題名は一茶がわが子の死に直面して詠んだ俳句「露の世は露の世ながらさりながら」から引用されたもの。
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)