天地人 (ライブラリ)

溶接の人気

 公共職業訓練の希望者が増加しているという。とくに溶接が人気になっているという。これは不景気によるところが大きいが、中でも溶接については、ものづくりの基盤技術としての溶接に対する社会全般の認識が高まっていることも背景にはあろう。言わば「手に職をつけるならこの際溶接で」というわけだが、この傾向は大いに歓迎したいこと▼東京都立職業能力開発センターで溶接科を設けている3校では、今年4月の入校状況は、城東が167%に増加、多摩が倍増し、武蔵野に至っては3倍増へと各校とも軒並み応募者が増加している▼これについて同センターでは「不況の影響が大きい」とみる一方、「テレビなどの取材も受けていたからメディアの効果も多分にあったと認識しているし、同時にどこのメディアも溶接に対する関心が高いと感じた」と話していて、環境の変化を強調している▼実は10年ほど前、東京都から委嘱されて職業訓練校あり方検討会の委員をつとめたことがあって、その当時は、7校あった溶接科がいずれも募集定員割れの状態で、都では溶接科を廃止して人気のIT関連に集中したいような意向だったが、その際、基盤技術の要員確保には長期的視野が必要だと訴えていたのだったが、「溶接の復権」はわが国ものづくりにとっても心強い限りだ。

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