天地人 (ライブラリ)

別れの心理

 東京駅を発着するブルートレインが姿を消した。3月13日東京発の「はやぶさ」「富士」が最後の列車となったもので、この日の東京駅には別れを惜しむ鉄道ファンら3千人が詰めかけたという▼自分も鉄道好きだからこれまで随分とたくさん寝台特急列車は利用した。「はやぶさ」も「富士」も一再ならず乗っているし、山陰に向かう「出雲」や四国は高松行きの「瀬戸」、北海道の大地を目指す「北斗星」、そして奥羽本線を青森に向かう「あけぼの」には最近も乗ったばかりだ▼それにしても日本人はなくなると知ると駆けつける。日頃は鉄道など利用もしないのに終わりになるというと大勢の人が詰めかける。廃線最後の列車などもそうだ▼それでおもしろいエピソードがある。30年以上前、東北線松川から川俣に至る川俣線という「盲腸線」があって廃線の対象になったころのこと。沿線の町長や議長が仙台鉄道管理局に存続の陳情に来た。一応陳情の趣を聞いたうえで両者にこんなやり取りがあった。
 仙鉄局長「ところで、皆さんは今朝何に乗ってここまで来ました?」
 町長ほか「(役場から)車で来ました」
 仙鉄局長「そうでしょう。川俣線は存続の陳情に来る人たちでさえ乗らない路線ですよ」
 これは地元紙に載っていた実際あった話。

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