野村宗弘著マンガ『とろける鉄工所』(講談社)がおもしろい。鉄工所とそこで働く溶接工たちの姿がいきいきと描かれているし、溶接のおもしろさ、難しさ、重要さが書かれており、何よりも溶接に対する愛情が深く感じられて好ましい▼そして驚くのはビードとかスパッタとか裏波溶接とか溶接の専門用語が頻繁に出てくることだが、作者の野村さんは漫画家になる前はご自身広島で溶接工をやっていたということで、溶接に関する専門的なこともきちんと表現されている▼登場人物には、溶接工としては中堅どころの北さん、ベテランの小島さんと今井さん、新人の吉っちゃん。これに社長と北さんの新妻、小島さんの娘。広島の小さな鉄工所が舞台だから会社は厳しいが、ほのぼのとした人間関係が救われる▼本書を読んでわが意を得たのは、溶接というものをきちんと社会に知らしめようという作者の姿勢。登場する溶接工たちは溶接に誇りを持っているが、一般社会の溶接に対する認識は弱い。それで大事な役回りを担っているのは、欄外で独白している担当編集者のK添嬢▼本書は売れているらしく、品切れ書店も続出で、昨年11月の刊行から2カ月ですでに3刷りとか。本書を通じて若い人たちや社会一般に「溶接」に対する魅力が少しでも伝わってくれればありがたい。
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)